すべては無から始まった 後編
目を覚ますと、茶色い天井と白い明かりがあった。
僕は暖かい布団の中にいたが、体は少し濡れていて、
頭がボーッとする。状況が理解できない。
・・・あれ?そもそも、僕は誰?
頭の中を整理する。なんということだろう。
僕は誰で、どうしてここにいるの?
ギギギギギギ・・・
どこかから扉の開いた音がする。扉からは、
「おーっ‼︎起きたか!よう‼︎」
朱色の髪色で1つ縛りの、僕と同じ背丈くらい男の子は、
「ひっ!」
何故かはわからないが、走ってきた子に恐怖を感じた。
「あれ、なんでまるまってんだ?もう昼だぞー!おーい‼︎」
「うわぁ⁉︎」
男の子は、布団をひっくり返そうとした。
「おい…怖がってるだろ。」
布団に隠れたから見えなかったけど、男の人は、
「うぇーっ!なんだよー、ビビリだなあ、お前ー!」
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!」
僕は男の子に必死に謝った。
「・・・なあ、君、とりあえず、
「・・・わかり、ました。」
もしかしたら、
「君は、ついさっき、川の近くで倒れていたんだ。」
・・・あ、なるほど。だから少し濡れていて寒いんだ。
「で、それを俺と、このうるさい子供、
「イェーイ‼︎ルトってのは俺なー‼︎」
・・・さっき走ってきた子か・・・
「ちなみに、俺は・・・・・・ジェルイア。こいつの」
「俺のアニキ‼︎」
「誤解を生むからやめろ!兄弟じゃないから!」
「へへへっ!ま、いいじゃねーか!どっちでも‼︎」
「よくない‼︎」
ルトさんとジェルイアさん・・・か。
「なあなあ!お前は!お前はなんていうんだ⁉︎」
⁉︎・・・い、いきなり話しかけてきた。えーっと、えーっと!
「わからない、です。自分の名前。」
「えーーーー⁉︎」
「・・・ていうか、思い出せないです。自分の名前以外にも、
「えーーーーーーーー⁉︎」
そ、そりゃ驚くよね、向こうはちゃんと名前あるし・・・・・・。
「!・・・記憶喪失か・・・。」
「んー?ジェルイアー、記憶喪失ってなんだ?」
「記憶喪失というのは記憶がなくなってしまう状態のこと。・・・
「・・・はい」
僕は記憶喪失・・・なのか。
「・・・参ったな・・・これじゃあ家に届けようにも・・・
どうしよう、
「ご、ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさい!」
「な、なんで謝るんだ?」
「だって、僕のせいで・・・困らせて・・・」
「あ、ああ、確かに少し困ってるが、君のせいじゃないぞ。
ほ、本当かなぁ、無理して嘘言ってないといいけれど・・・
「それにしても、どうしようか。君、何も思い出せないって事は、
「・・・は、はい」
自分の家どころか、
「えー!家わかんねーの⁉︎迷子かお前ー!」
ま、迷子・・・そう言われると何か複雑な気分だ・・・
「・・・お前は少し黙れ」
「えーー!」
「・・・あ、そうだ。記憶を取り戻すまで、
⁉︎…ジェルイアさんは何を言い出すのだろうか。
「え、いいんですかっ?あ、でもいえ、迷惑だしっ、えっと、
「小さい子供が、迷惑とか気にするな。それにルト、
「・・・?こころよくひきうける?どういう意味だ?」
「・・・はぁ・・・俺の時みたいに優しくしてくれるってことだ」
「・・・あー‼︎なるほどな!大丈夫だぜ‼︎
・・・2人が話している内容は、よく理解できなかったけど、
・・・どう、しよう?優しくしてくれるのは嬉しい、けれど。
「おーい、ルトー、ジェルイア君ー、おつかい頼むー」
「えー‼︎わかったぜー!今行く!親父ー!メモくれー!」
ルトさんは、ドタドタと部屋を飛び出して行った。
「・・・!・・・そうだ。なあ、君、こういうのはどうだ?」
「・・・え?」
「君はここに泊めてもらう代わりに、ここで家事を手伝う。
・・・!て、手伝うだけで、喜んでくれる・・・?
「そ、それでいいんですか!?」
「あ、ああ、多分。・・・まぁ、
・・・手伝いなんて・・・まともに出来るかわからないし、
「・・・・・・そ、そのそのっ、お願いします・・・ですっ」
「ははっ、それは俺じゃなくて、親父さんに言わないと。おーい、
ジェルイアさんも、部屋から出て行き、
親父さんという人は、『構わないよ、
記憶を取り戻すまで親父さんに泊めてもらうことになった。
僕は、親父さんやルトさん、ジェルイアさんの手伝いをしながら、
「買うブツはー、抹茶ドーナツ、アイスまんじゅう、
ルトさんは、街中でハイテンションでジャンプしていた。
「おい、目立つから大人しくしろ。恥ずかしい…」
「嫌だー!わー!わー!」
「…はぁ。ごめんな?うるさくて…」
ジェルイアさんは、呆れたような表情で、
「い、いえ。大丈夫です。」
さっきは布団にくるまっててよく見えなかったけど、
「・・・そうだ、お前・・・っと、そうか、
「・・・は、はい」
・・・・・・名前は、未だに思い出せない・・・けれど、
「じゃあじゃあ、記憶ってのを取り戻すまでの名前を、
「ええっ?」
ルトさんが?…不安なのは、僕だけ、かな?
「うーん、うーん、うーん、あ!じゃあロードはどうだ⁉︎
「・・・なんで道なんだ?」
「だってー、こいつ、迷子なんだろ?なら、
「え?えっと・・・」
思い出して・・・ちゃんと帰れるように・・・か。・・・帰る・・
「い、いいと、思いま」
「あ、いや、待てよ!ただ単にロードじゃなんかつまんねぇな‼︎
「え⁉︎ロト・・・?どうして?」
別に、ロードでもいいと思うけれど・・・。
「へっへへ!俺の名前はルト、お前はロト・・・
「ルトにしては中々な案をだすなー。」
「にしてはってどういう意味だー‼︎」
ジェルイアさんは笑いながらルトさんに賛同した。
「むー、じゃあじゃあ、今日からお前はロトだ!いいよな!よろしくな!
・・・ちょっと強引に名前を決められたけど・・・兄弟・・・
「は、はいっ!」
ロト・・・今日から僕はロト、か・・・えへへ、なんか嬉しいな。
「・・・あ!ばあちゃんの店着いた‼︎おーい!ばあちゃん‼︎」
「おお・・・ルト君・・・よく来たねぇ」
ルトさんが駆け寄った屋台には、
「ばあちゃん‼︎アイスまんじゅうと抹茶ドーナツ‼︎」
「はいよ・・・」
「おい、ようかんも」
「あ、それもそれも!」
「はいよ・・・おや、今日は知らない子もいるねぇ・・・」
「え、えっと」
知らない子・・・僕の事だろうな。
「実は、この子、さっき川の近くで倒れていた子なんですが、・・・
「おやおや、そうなのかい、大変だねぇ・・・。おお、そうだ、
「はっ、はいっ‼︎」
お婆さんはこちらに目線を向けると、
「こ、これはなんでしょうか?」
「知らないのかい?これはアイスまんじゅうといってねぇ・・・
「・・・」
だ、大丈夫かな・・・毒やなにかが入ってないかな・・・?普通、
・・・まあ、いいや。食べてみよう・・・
・・・・・・‼︎
もちもちとした生地の中にシャリシャリとしたよくわからない甘い
「美味しいですっ‼︎感動です‼︎」
・・・あ、気がついたら感動で涙がでてしまっていた。
「おお・・・泣くほどかい、そうかい、そうかい、
「・・・なんか、食ってるのみたら俺も食べたくなってきたぜー」
「じゃあルト君にもあげよう。抹茶ドーナツじゃよ・・・
「わーい‼︎ありがと、ばあちゃん‼︎」
「よ、ようかん・・・なんでようかん・・・?まぁいいや、
「・・・」
ルトさんやジェルイアさんも、抹茶ドーナツとようかんを、
「んー!やっぱりみんなで食うと美味いな!ジェルイア、ロト!」
「・・・そう、だな」
・・・みんなで食べると、美味しい?なんで?・・・
「みんなで食べると、食べ物は美味しくなるんですか?僕、
ルトさんは、僕の質問にきょとんとしていた。・・・
「お前は人の笑顔を見てどんな気持ちになる?」
「・・・人の、笑顔?」
・・・人の、笑顔・・・
先ほどのルトさんとジェルイアさんの笑顔を思い出す。・・・
「幸せな気持ちに・・・なりました」
「・・・だろ?幸せな気分で食べると、
「・・・!」
幸せな気分で食べると、もっと美味しくなる・・・!なる、ほど!
「なるほどです!ジェルイアさん、ありがとうございます!」
「あはは、いいって」
ジェルイアさんは微笑みながらぼくの頭を撫でてくれた。僕は、
「・・・兄弟みたいだな、お前ら!
・・・あ!そうだ!記憶取り戻すまでの間、
「ええ⁉︎」
「・・・あのなぁ」
ルトさんはまた何を言い出すのだろうか僕なんて迷惑的存在でしか
「だってだって!こいつも兄貴とかいたら心強いじゃねーか‼︎」
・・・た、確かに、
「・・・わかったよ。」
えっ⁉︎ジェルイアさんまで何を⁉︎
「じゃあ、俺の事はジェルイア兄さんとでも呼ぶがいいさ。」
「ジェ、ジェルイアさん!?あ、あのあの、迷惑じゃないですか?
「ジェルイア兄さんだ。」
「あ、はい、ジェルイア兄さん」
無理矢理強引に呼ばされてしまった・・・
「わー‼︎じゃあ俺はロトの親友な!親友もいた方が心強いだろ、
「弟分⁉︎わ、わかりまし・・・」
…友達…親友…友達って親しい感じで接した方がいいんだろうか。
「わかったよ!ルト!ジェルイア兄さん!」
いきなり、馴れ馴れしく呼ぶのは、失礼かと思ったけれども、
「・・・あっ!やべっ!忘れてた!ばあちゃん!
「はいよ・・・」
「ていうか忘れてたのかよ」
「あははっ・・・」
ルトの忘れっぽさに、ちょっと呆れて笑ってしまった。
『・・・っははは』
「・・・えっ?」
どこかから、笑い声が聞こえた。近いけど、遠いような場所から。
「ん?どうした、ロト」
「え?う、ううん!なんでもないよ!兄さん!」
・・・気のせい、だよね?・・・多分。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
気が付くと、僕は川の近くの、石だらけの地面に横たわっていた。
ここは・・・どこ?僕はさっき、溺れていたはず。
川の向こう側に、深緑色の髪の少年が倒れていた。
恐る恐る、水面に自分の姿を写してみる。
・・・体を動かしてみる。すると、体がふわふわと宙に浮いた。・
・・・じゃあ、コレ、は、僕の死体か。
・・・哀れだね。こんな無様な死に方をして・・・。
「・・・ははっ」
・・・結局、僕は、何も・・・得られない、まま・・・ああ、
「・・・?」
・・・自分の死体をじっと見ていると、死体が少しだけ、
『おい!誰か倒れてるぞ!ジェルイア!助けないと!』
『!本当だ・・・』
・・・人間が、こちらに来た。そして僕の死体を見つけ、
・・・アレでも一応、僕の体だ。何かされると思うと、少し・・・
人間は、どこかしらの家に入り、僕の死体を布団に寝かせ、
・・・死体なんか寝かせて、何になるっていう、のに。
「う、ううん・・・」
・・・⁉︎
僕の死体から、声が聞こえた。死体・・・だったものは、
落ち着いていられなかった。どうして?死んだはずなのに、
頭の中がその疑問でいっぱいだった。しかもソレは、
ギギギギギギ・・・
先ほどの人間2人が入ってきた。人間の1人は、
・・・ソレの目の色をよく見ると、蒼く綺麗に輝いていて、
・・・なん、で?どう、して?
・・・人間たちとソレは、家からでていき、
緑髪の大きい男や、朱色の髪の小さい男は、
『・・・そうだ、お前・・・っと、そうか、
『・・・は、はい』
大きい人間とソレは、名前についての話をしていた。
・・・あはは、『わからない』んじゃない。
『じゃあじゃあ、記憶ってのを取り戻すまでの名前を、
・・・え?名前・・・を?コレに?僕に・・・じゃ、なく?
『うーん、うーん、うーん、あ!じゃあロードはどうだ⁉︎
『ロト』・・・それが、コレに与えられた、名前。僕じゃなく、
・・・ロト・・・ロード・・・ああ、ばっからしい。くだらない。
ザザッ・・・
「・・・いたっ・・・なに?」
突然、頭に激痛が走った。そして僕の頭の中には、
僕は手を伸ばしながらどこか、どこかへと流されていた。けど、
僕はそれらを見て、全て理解した。自分のことや、
「・・・なる、ほどね。」
あの石は・・・僕の心そのもの。白い石は・・・で黒い石が・・・
・・・ああ、そうだとすると、僕は・・・・・・・・・・
僕には、持っているものが少ないのに、たくさん、
『お前は人の笑顔を見てどんな気持ちになる?』
大きい男は、ソレにこう問いた。
僕には質問されていないが、言わせてもらうよ。
「・・・憎いよ。人の、人間の笑顔なんて。笑顔だけじゃない。
自分の事がわかってから、この『憎い』
・・・ああ、どうしよう。この気持ちに気づかなければ、
・・・よ、なんて言っても、誰も・・・て、くれないんだろうな。
『あははっ・・・』
ソレは、僕がしたことのない幸せそうな表情で、
苦しい、苦しいよ。この苦しみはどうしたら収まるんだろう。
・・・あ、そう、か。・・・・・・・・・ば、いいんだよ。簡単な話、
・・・初めて、僕はこんなに笑ったけれど、それは、
「・・・っははは‼︎‼︎」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「ちょっと!聞いてるの!?ねぇ!」
「うるさいなぁ、何の用?今、
「忙しいもなにもないわ‼︎あの魔族の子供、どういうことよ」
「・・・あれ、意外。宝石とスイーツにしか興味がないキミが、
「うるっさいわね!気分よ気分」
「・・・まあ、ヴァルクロイアがあの魔族の子と関わってるから、
「ヴァルクロイアは関係ないわよ‼︎
「・・・あー、うん、で?それがなにかー?」
「なにかー?じゃないわよ‼︎あの魔族の子供、
「ああ、それか。えーとね・・・」
「・・・ゴクリ」
「・・・確かに、彼はただの魔族じゃない。
「・・・は?・・・ちょっと‼︎
「えー?たまには頭を捻らないと、馬鹿になっちゃうよ?あ、
「っ・・・こいつ・・・ぶちのめしてやるわぁ‼︎」
「やめてくださいトゥルク!キクも、
「はーい。ハラル、ごめんねー」
「ったく・・・ん?ヤンデレ兄貴、そのでっかい本はなんなの?
「・・・言ったでしょ?策を練っているって。」
「・・・策とは?」
「・・・そうだねー、じゃあちょっとだけ教えるよ。
「・・・まぁた、意味わからんことをほざいた、
「あはは、悪いね、今は全てを教えるわけにはいかないんだ。
「気にするわ‼︎」
「わ、私も気になります。ていうか、キク、
「・・・あーあ、わかっちゃう?・・・ま、でも。
「勇者君ってなんなのよ‼︎・・・ったく‼︎」
「・・・また変なことを企んでいないといいのですがね」
ー終わり。
意味不明な回でごめんなさい((
リトサイドの最後の部分は、
表現が意味不明すぎてよくお話がわからなかったらごめんなさい(
あ、初めて小説を終わらせることができましたー( ´ ▽ ` )ノやったね私‼︎((
でも、一応終わったのですが、番外編、だそうと思います。
ていうかコレ、リトとロトのお話なのに、後編にしか、
ロト「うわぁぁぁぁぁぁ。・゜・(ノД`)・゜・。‼︎‼︎」
リト「・・・ハッw」
ではでは!最後までみてくださってありがとうございました!