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忘れられた冒険記1

ある日のお花畑にて、薄茶髪の少年と、黄緑髪の少女は、お花の冠を作ったりして遊んでいました。

 

「フラウィア、やっぱりお花似合うよね!」

 


「わあい!ありがとうレマ!」

 


その日はもう夕方で、子供にとってはもう帰らなければいけない時間ですが、少年少女はそんなのおかまいなしにワイワイ遊んでいました。 まあ、いつもの事ですが。

 


「えへへ、このお花、忘れな草っていうんだねぇ!」

 


ワスレナグサ?なんだっけ、それ」

 


少女はすぐそこに咲いてあった青い小さな花を指差しました。そして少女はその花について長く長く説明し始めました。

 


忘れな草っていうのはペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラ…なんだよ!」

 


「へ、へぇ、なるほど…」

 


少年は、まだお花にあまり興味がなかったのであまりうまく聞き取れなかったそうです。

唯一聞き取れたのは、ムラサキ科の植物ということと、花言葉でした。

 


「『真実の愛』と『誠の愛』ねぇ。………ふぅん。」

少年は花言葉に対して「くだらない」、なんて思いましたが、それを少女に察さられると、少女が傷ついてしまうので、すぐ表情を変えて、考えてる事がバレないようにニコニコヘラヘラ顔になりました。

 


「白い花の場合は、また違った意味になるんだよ!」

 


「へぇ、色によって意味違うの?」

 


「うん!ほら、チューリップとか薔薇って、色んな色があるでしょ?色によって花言葉は様々!例えばチューリップは赤の場合、永遠の愛、白の場合は失われた恋、黄色の場合は報われない恋、なんだよー!」

 


「さすがフラウィア…詳しい…っていうか、お花に関してちゃんと勉強してるなら、他の事もちゃんと勉強しなよー。アンドーテちゃんにもグランディオスさんにも言われてるでしょー、フラウィア、将来は…」

 


「あー‼︎うー‼︎もうっ!レマまでそんな事言わないでよー!私はじょーおー様になる気なんてないし、だいたい、次女の私があ、あてつぎ?」

 


「跡継ぎね。」

 


「そうそう、跡継ぎ!跡継ぎなんて絶対向いてないもん!なんで私がー…」

 


少女は涙目でプンスカ怒りながら拗ねてしましました。

 


「う、うぅん…」

 


少年は、誰かを励ましたりした事があまりないので、言葉選びに困ってしまいました。

 

 

 

実を言うと、この少女は一国のお姫様なのです。そして、この少女には1人の姉と1人の妹がいます。

 


普通、跡継ぎなどはとても優秀な人物だったり、長女や長男が継ぐものなのですが、少女の姉はとある事情で騎士団の団長になってしまったため、姉は国王様達の跡を継ぐ事ができないのです。だから、跡継ぎはこの少女、フラウィアになってしまったという訳です。

 


「アンドーテなら賢いし賢いし運動神経もいいし魔法もすごいし、アンドーテを跡継ぎにした方が絶対いいのに…それに私、将来は植物研究家になりたいのに!」

 


アンドーテというのは、少女の妹の事です。彼女は3姉妹の中で一番冷静で、賢く、正直に言ってしまうと、姉のフラウィアやグランディオスより優秀な子なのです。ですが、彼女は何故か、跡継ぎの候補に選ばれないのです。

 


「…好きだよね。植物」

 


「……」

 


少女は少し落ち着いたあと、いつもの元気で明るい少女にしては珍しく静かな声で「うん、すごく大好き。」と言いました。彼女が何故そこまで植物を執着するのか、それは少年にも全くわからないのでした。

 

 


ーガサッガサガサガサッッ‼︎

 


「わ、わわ!なあに!?レマ!?」

 


「い、いや、僕なんもしてないよ!?」

 


どこかから、草むらが揺れる音が聞こえました。2人は恐る恐る、キョロキョロ当たりを見回しました。すると、甘い香りがただよってきました。チーズケーキのような甘い香り。しかも、音がした方向に向かって行くにつれて、どんどん香りは強くなっていきました。

 


「うう、お腹空いてきたぁ…チーズケーキ食べたいよぅ…」

 


「我慢して、フラウィア。えっと、確かここらへんに…あ!誰か倒れてる!」

 


少年が草むらを指差すと、そこにはファンシーな格好をした女の子が倒れていました。しかも、その女の子からには、やっぱりチーズケーキの香りが漂っていました。

 


「こ、この子、お昼寝してたのかな?ね、寝相悪いのかなぁ?だからガサガサッッって音がしたのかなぁ!?と、とりあえず大丈夫かな!?!?」

 


少女はパニックに陥ったのか、言語があやふやになってしまいました。

 


「し、知らないよ!あ、あぁ、えっと、確か息を確かめる方法があったはず!…って、わかんないよ!子供だもん‼︎知るかってんだよ!!」

 


少年もまた、少女と同じ反応でした。

 


「う、うぅ…うるさい…」

 


「「あ‼︎」」

 


少年たちの声に、女の子は反応して、目を開き始めました。

 


「ねぇねぇ、大丈夫!?あのあの、怪我してない!?」

 


「は、はぁ?してない、です。」

 

女の子は、突然黄緑髪の少女が近くにやってきて、少しびっくりしていました。ですが、少女と違って、女の子はすぐに落ち着きを取り戻しました。

 


「よかったあ!!あ、私はフラウィア!こっちはレマ!」

 


「どーもーwレマ君でぇすwよろぴくねんww」

 


「…なに、この男の子…変な口調…」

 


女の子は、少年を軽蔑の眼差しで見つめていました。

 


「わあwそんな目で見ないでくれませんw?怖い怖いw」

 


「……はぁ」

 


「ため息なんてついてどっしったっのーん?wあ、ねぇ、キミ名前なんてーの?w教えてよーwほら、世の中には『人に名前を尋ねる時はまず自分から名乗れ。』なんて言葉があるじゃん?僕ら、ちゃんと名乗ったんだから教えてくだしあーww」

 


よく見ると、この少年の態度、少女、フラウィアの時と謎の女の子の時と、態度が全く違います。何故でしょうね。

 


「…スフレ、といいます。」

女の子は、嫌々仕方なさそうに答えた。

 


「スフレちゃんって言うんだね!よろしくね!あ、スフレちゃんはなにしてたの?お昼寝?」

 


少女は目を輝かせながら女の子に尋ねました。

 


「…い、いえ。その…」

 


「んん?」

 


スフレと名乗る女の子は冷や汗を流し、目を逸らしはじめました。ところが2人はそれを逃しませんでした。少女は「なんで目を逸らすのかな…?」と疑問に思いながら、少年は「なにこいつwもしや不審者?wこりゃ事情聞いた方がよさげかね?怪しいやつだったらソッコー、フラウィアの前から消えて貰わなきゃ…」と変な事を考えながら女の子の視線を追いかけました。

 


「わ、わかりませんわ。」

 


「わかんないってどういう事さw」

 


今度は少年が、スフレに対して軽蔑の眼差しで見つめはじめました。

 


「い、今までなにをしてたか、本当に思い出せないんです。名前以外、なんにもわからなくって」

 


「怪しいなぁ。記憶喪失ねぇ。ま、僕は記憶喪失になった事ないからよく知らないけどさぁ、本当に本当ー?」

 


「本当ですっ!…し、信じてくれないならもういいです…。では、ごきげんよう…」

 


「あ、まってスフレちゃん!」

 


スフレはフラフラと起き上がり、2人の前から姿を消そうとしました。ですが、かなり衰弱しているのか、スフレはまた倒れてしまい、意識を閉ざしてしまいました。

 


「あ!スフレちゃん!もう、レマ!駄目でしょ!スフレちゃん、かなり弱ってるじゃない!怪しいかもしれないけど弱ってる人にキツく言うのは駄目だよ!」

 


「う、うぐぐ、わかったよ…」

 


本当度がすぎるお人好しだなぁ、と少年はつくづく呆れていました。でも、少年は、少女のそこが好きだったりします。

 


「で、その…スフレ、さん?どうするの?倒れちゃってるけど…どこか安全なところに寝かせとく?フラウィアの城とかは?」

 


「う、うーん、私のお家は絶対駄目だよ…見知らぬ人を入れたら…私やレマはともかくスフレちゃんが大変な事に…あ、レマのお家は?」

 


「…や、僕ん家も駄目。怪しい奴家に入れたの親にバレたら…僕自体が脱走したのバレるし。そしたらもう遊べなくなるし…」

 


少年の家も、なにやら複雑な理由があるようで。

 


「あ!そうだ!宿行こ、宿!宿ならきっと泊まらせてくれるよ!」

 


「宿か…いいかもね。お金も丁度たんまり持ってるし。フラウィアにしては珍しくいい案だね!」

 


「え、えぇ!どういう意味ー!?」

 


少女はプンスカ怒りながら、少年と一緒にスフレを抱え、2人が住んでる街とは別の、小さい田舎村の宿へ向かいました。何故自分達の住んでいる街の宿に行かないかというと、この2人は、身内に内緒で家から脱走している身なので、街の人たちに目撃されると色々と不味いのです。特に黄緑髪の少女は。

 

 

 

 


スフレを抱えながら、2人は宿にたどり着きました。

「こんにちはー‼︎すいません!泊まらせてくださーい!」

 


少女は、扉をドンッッ‼︎と開けた後、すぐ叫びました。

 


「ちょ、ちょっとフラウィア、目立つでしょうに!」

 


「え、あ、ああ、ごめんねレマ!」

少女はあたふたしながら少年に謝りました。少年はいいからいいから、とあたふたしながら少女をなだめました。

 

ところで、2人はもう香りに慣れてしまったから気が付きませんが、宿の中は、一瞬でチーズケーキの香りで充満してしまいました。


「全くもー、うるさいお客様ねー。いらっしゃい。」

 


「ん?誰かいる?」

 


少女はふと階段を見ました。すると、赤髪の2つしばりの女の子が降りてきました。

 


「ん?なんかどっかで見た事あるような…あ!フラウィア‼︎」

 


「えっ?だ、誰?」

 


「え!?ひどっ!?私の事忘れてんの!?親友としてどうかと思うわよー…?」

 


突然自分の名前を叫ばれて、少女はびっくりしました。どこかで会ったっけ…?と記憶の引き出しを片っ端から引き出しました。すると、ようやく思い出したようです。

 


「…!あ‼︎ファイだあ!久しぶりだね!いぇーい‼︎」


「やっと思い出したわね!全く、酷い子ね!ま、いいわ、久しぶり!」


ファイと呼ばれた女の子は、少女とハイタッチを交わしました。


「…誰お前」

 


空気になっていた少年は、睨みながら勇気をだして赤髪の女の子に話しかけました。

 


「ん?あんたこそ誰よ。」

 


赤髪の女の子も、強気になって、少年を睨みつけました。2人の間にはビリビリと小さい雷が走っていました。

 


「わわ、にらめっこしないでよー!え、えっと、レマ、この子はファイって子で、私の『親友』なんだ!あ、ファイ、この男の子は私の『友達』のレマ!優しい子なんだよ!」

 


「…友達…親友…うぐぐぐ」

 


少年は、少女の言った言葉が、どこか気に食わないようで、ブツブツと「なにあの女…うざいなぁ」と呟いていました。

ファイは、その言葉が聞こえていたようで、「なんですってぇぇ!?」と言い、少年に殴りかかってきました。けど、少女が何とか静止しました。

 


「で、ファイファイ、なんでファイがこんなところにいるの?」

 


「え?ああ…」

 


ファイは、本来は少女たちとは違う、少し遠い国に住んでいるのです。ですから、ファイとフラウィアは滅多に会えないのです。会えるのは1年に3度、とか、そのくらいでしょうか。

 


「それは…」

 


と、ファイが言いかけると、今度は水色髪の、眼鏡をかけた少年が、こちらにやってきました。すると…

 

 

 

ーつづくんれすー