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不定期更新しますですー

チーズケーキとフラワー 2

『初めまして。スフレはスフレといいますの。』

 

『スフレちゃんっていうんだね!スフレちゃん、よろしくね!』

 


『ええ。これからも仲良く遊びましょう』

 


『うん!遊ぼう遊ぼう!』

 


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『ふぅ、たくさん遊んだ遊んだ!あ、もう帰らなきゃ!じゃあね、スフレちゃん!またね!』

『ええ、またね。』

 


…またね。この言葉を聞くと、胸が痛くなる。苦しくなる。涙がでる。どうして?ねぇ、教えて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドンッッ‼︎

 


「っ!」

 


衝撃音で再び目を覚ます。スフレは一体なにをしていたんでしょうか…

確か、フラウィアという子たちに起こされて…その後は…えっと

 


「なんですってぇぇ!?」

 


「!」

 


赤い髪の2つしばりの女の子は、突然レマ君に殴りかかってきていました。

 


「わわ、ストップストップ!やめてよもう!ふたりとも!」

 


「あ、ごめん、フラウィア…」

 


な、なにやら喧嘩をしているみたい。スフレは巻き込まれたくないから寝たフリをしていましょうか…

 


…にしても、これからどうしましょう。スフレ、何にも覚えてないし、何処にも行く宛がない。自分の名前しか覚えていないというのに、スフレは一体どうすれば…?

 


「おい」

 


どこかから声がした。起きてる事がバレないようにチラッとそこを見ました。水色髪の、眼鏡をかけた、フラウィアちゃんたちと同じくらいの子がそこにはいました。

 


「ん?なんか用ですか?どちらさん?w」

確か…レマ君でしたかしら?レマ君はスフレと同じ、人を馬鹿にしたような口調で喋り始めました。スフレ的に、あの喋り方はやめた方がいいと思います。さっきみたいにまた喧嘩を招いてしまいますし…ていうか、さっきは何故レマ君と赤髪の女の子は喧嘩していたんでしょう。あまり話を聞いてなかったのでよくわかりません。

 


「ここから危険な匂いが漂ってきた。お前たちがここに入ってからだ。危険物を持っているなら早く捨てろ、または早く食せ。いや、この建物から消してくれ…」

 


髪色と同じくらい、顔が真っ青な少年は、フラウィアちゃんたちに偉そうに口出し…?をしてきました。

 


「…なんでもいいから、早く、危険物を…ゔっ…」

 


眼鏡の少年は、手で口を抑えて、今にも吐きそうな顔をしていました。大丈夫でしょうか…背中をさすった方がいいでしょうか。いいですよね。えいっ!

 


「ふぇぇ!あ、スフレちゃん‼︎」

「っ!?」

 


スフレはフラウィアちゃんとレマ君をふりほどいて、眼鏡の少年の元へ行き、背中をさすりました。ですが、少年の顔の青さは、どんどん増していったような気が…

 


「こ、来ないでくれ。お前から危険物の匂いがする。」

 


き、危険物?スフレは毒でも発してしまっているのでしょうか?そんな…でも、そうだとすると、フラウィアちゃんや他の人たちは何故平気なのでしょう?

 


「匂い…危険物…」

 


レマ君はブツブツとなにかを呟いたあと、頭上に豆電球を発生させながら、閃いたような顔をして言いました。

 


「キミ、もしやチーズケーキ嫌いなの?wしかも吐きそうになるとか恐怖症レベルだよねんw」

 


「レマ君!その喋り方は相手を刺激するのでやめた方がいいと思いますよ!」

 


「はぁw?うるさいなwつーか起きてたんなら早く言ってよねw」

 


うう、怒られてしまいました…。

 


「レーマー‼︎優しくだよ‼︎」

 


「ご、ごめんってフラウィア…あはははー…」

 


…レマ君は、フラウィアちゃんに弱いんでしょうか?今まで怒ってたのに、もうすっかり怒ってる感じがしない…。フラウィアちゃんすごいです。

「ゔっ…もう…だ…」

 

 

 

「わわ、倒れちゃった!眼鏡君ー!」

 


眼鏡君(仮名)は、泡を吹きながら、さっきのスフレの様に倒れてしまいました。ど、どうしましょう、スフレのせい…?

 


「と、とりあえず、部屋に運びましょ。話はそれからよ。」

 


赤髪の女の子は、眼鏡君をよいしょと抱えると、階段を登っていきました。フラウィアちゃんとレマ君は、赤髪の女の子を追いかけて、どこかへ行きました。

スフレも一旦、それらを追いかけます。

 

 

 

 

 

 

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「…」

先ほどの花畑では、今度は小さな紫色のネズミが、一匹、静かに佇んでいた。ネズミは、2、3輪ほど、ぷちっと、白と青の小さな花を摘んで、口にくわえ、心の中でこう囁いた。

「…脆いものだよ。」

摘まれた花に対して呟いたのか、あのスフレという女の子に対して呟いたのか、それはこのネズミにしかわからないであった…。

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スフレたちは、101室というところに眼鏡君を運びました。

 


「にしても、何で倒れちゃったんだろう…やっぱりチーズケーキが原因?ていうか、そこの変な匂いがする人誰?」

そういえば、スフレは赤髪の女の子に自己紹介やらなにやらしていない気がします。向こうにもしてもらっていませんし。

「スフレはスフレといいます。よろしくお願いします。実は、かくかくしかじかで、フラウィアちゃんたちに助けて貰ったのですよ。」

 


「ふぅん?あ、私はファイ!よろしくね、スフレ!」

 


「は、はい!」

ファイちゃんは、フラウィアちゃんと同じ様な、曇りのないピカピカの笑顔で、スフレに挨拶してくれました。少し、嬉しいです。

「ファイは私の大親友なのっ‼︎ねー!」

フラウィアちゃんは、嬉しそうにファイちゃんの腕を引っ張りました。

「その大親友を忘れてたのは誰かなー!?」

「ふぇぇ!ご、ごめんなさぁぁい!」

あわわ、また喧嘩が…!ど、どうしましょう!静止しなければ!

「あ、あの、喧嘩しないでください!!!!」

殴られるのを覚悟し、スフレは勇気を出して喧嘩を静止しました。すると、なんという事でしょう。不思議な事にフラウィアちゃんとファイちゃんに、大きな声で笑われてしまいました。

「な、何故笑うんですか!?」

 


「あははは、馬鹿ねー、喧嘩なんてしてないわよ?」

 


「あははっ、こんなのいつもの会話だよー?」

 


「え?え?喧嘩じゃなかったんですか…。」

よかった…喧嘩じゃなくて。…まあ、でも、確かに、レマ君の時とは違って、ピリピリした雰囲気はありませんでしたし……でも、安心とは裏腹に、勘違いしてしまったという恥ずかしさが…うう…

「あれ?スフレちゃん顔真っ赤だよ!だ、大丈夫!?熱かなぁ!?」

 


「い、いえ!大丈夫です!!」

フラウィアちゃんは天然なんでしょうか…。でも、その天然に助かりました…。

「と、ところで、お2人はとても仲がいいんですね!」

恥ずかしさを誤魔化すように、スフレは話題をだしました。でも、その話題を出した途端、誰かに鋭く睨まれたような気がしました。ファイちゃんとフラウィアちゃん以外の、別の誰かに。…正直怖いです。あの細い目。

 


「まあねー!」

「髪型もお揃いにするくらいだもんね!」

「うん!ヘアゴムの種類もお揃いだし!色違いだけど!」

確かに、2人とも髪型が全く一緒です。髪を束ねている場所も全く一緒ですし…。

「お揃いなくらいで調子に乗るなよ乱暴女がぁ……チッ」

…なんて声が聞こえた気がしましたが、とりあえずあの声はスルーしといた方がよさそうです。

「いいなあ、お揃いか。スフレにもそういった人が…いたんでしょうか…?」

「ん?なんで疑問系なの?自分の事なのに。」

う…ファイちゃんのその言葉…スフレ的に結構ダメージが…

「あ!スフレちゃんは記憶喪失、なんだっけ?」

「はい…信じてくれているか、わかりませんが…」

スフレは、疑いの視線がくるのが怖くて、下を向いてみんなの顔を見ないようにしました。すると、フラウィアちゃんは…

「信じるよ!だって、明らかに困ってそうだもん!あ、レマのあの言葉は気にしなくていいからね!初対面の人とかには、いっつもあんな感じだから!あまり深く考えないで、遠慮なく頼っちゃってよ!ね、スフレちゃん!」

「……」

「…フラウィア…ちゃん。」

今のスフレにとって、その言葉にどれだけありがたみを感じるか。少し苦しかった胸が、ちょっと暖かくなったような気がしました。

「あ、そうだ!記憶喪失で思い出したけど、スフレちゃん、風邪ひいてるかもしれないの!だから私たち、泊まりにきたんだった!」

「え、いや、スフレ、風邪なんてひいてませんが…?」

「えー!でも、さっきフラフラヨレヨレしてたよ!だから私たち、スフレちゃんをここに運んだんだよ!」

あ…そうだったのですか。だからさっき2人におんぶされてたんですか…。

「な、なんか色々と大変ね…じゃ、ちょっと待ってて。叔母さんに声かけてくるから。」

「「叔母さん?」」

「あり?言ってなかったっけ?この宿を開いてる女将さん、私の親戚の叔母さんなのよね。」

「あ!そうだったの!?初耳だよー!」

「あはは、えっとね、実は家族みんなで、叔母さんを手伝いに来てるの!実はね、叔母さんは…ごにょごにょ」


ファイちゃんはひそひそと、フラウィアちゃんの耳になにかを囁いていました。…スフレは見逃しませんでした。この時の、レマ君の激怒した顔を。…彼はなにに対してそこまで怒っているんでしょうか。スフレにはわかりません。

「わぁぁ‼︎それビックニュースだよー‼︎なら私も色々と手伝わせてよ‼︎」

フラウィアちゃんは目を輝かせ、手伝う手伝うとせがんでいました。ファイちゃんはわかったわかった、と嬉しそうな困り顔で、フラウィアちゃんを対応していました。

一体ビックニュースとはなんでしょう…?気になります…。

「でもあんた、いいの?早く家に帰らなくて。もう夜よ?」

 


「あっ………」

 


フラウィアちゃんは、なにかを思い出したような顔をしましたが、すぐにさっきの輝いていた表情を取り戻しました。

「大丈夫だよー‼︎1日くらい帰らなくったって、心配ないよ!だっていつもいつも抜けだしてるんだから、ママもパパも、お姉ちゃんもアンドーテも、『どうせ明日になったらひょっこり戻ってくる』って思ってるに決まってるよ!」

「や、大丈夫じゃないでしょ…全く…昔っからこうなんだから…」

ファイちゃんは呆れた顔で、ため息をついた後、

「…とりあえず、伝えとくから。じゃ、大人しく待ってなさいよ?ぜーったいどこにも行かないでよ?いいわね?」

と、言い、ファイちゃんは扉を勢いよく閉めてしまいました。

「…うーん、みんな大袈裟だなぁ。1日くらい、大丈夫だよー…なんでそんなに言うかなぁ…。」

 


………本来、赤の他人の、出会ったばかりのスフレが口出ししてしまうのは、野暮ですけど…。

 


「…フラウィアちゃん。」

 


「ん?どしたの?スフレちゃん。」

フラウィアちゃんは、ニコニコ笑顔でスフレに返事をしてくれました。…今からスフレがどんな事を言うか、予想してないんでしょうね。だけど、言わなければ。言わなかったら後悔する気がするから。…よし、言うのです。スフレ!

 


「心配してくれている人がいるのに、1日くらい、大袈裟などと言うのは、スフレ的にどうかと思います。その人たちの思いを無駄にするんですか!?」

スフレ自身が思った以上に、スフレは冷たく、トゲがあるような言葉を言ってしまったかもしれません。

 


「えっ…!?」

フラウィアちゃんは目をまん丸に開いて、プルプル震えていました。怯えさせてしまったのなら、ごめんなさい。でも、今は少しだけ怒らせてください。

 


「帰る場所がちゃんとあるんでしょう?待っててくれる人がいるんでしょう?なら、ちゃんと帰らなきゃ駄目です。スフレと違ってあなたは……あっ!」

 


言葉を発する事に、フラウィアちゃんの目から小さな雫がポロポロと流れ始めました。そして、フラウィアちゃんも、部屋からでていってしまいました。

 


「ま、待ってくださっ…!」

 


と言った時にはもう既にいなくて、残ったのはスフレとレマ君と寝ている眼鏡君だけになりました。

 


…部屋には、冷たく、重たい空気が漂っていました。スフレは、フラウィアちゃんを追いかけようとしました、が、その時です。

 


「…あのさあ」

 


低く、暗い声がスフレに語りかけてきました。

 


「赤の他人が、完全無知の記憶喪失さんが、よくもまあ偉そうに言ったものだよ。フラウィアの事何にも知らない癖に。しかもフラウィアに優しい言葉貰っておいて、あの言い方はどうなのさ。図々しいねぇ。」

 


…無知のスフレでもわかります。レマ君、にっこりと笑っていますが、心は全然笑ってない。あの2人の笑顔と違って、この笑顔は全然心が暖かくなりませんでした。逆に全身が凍りつきました。

一瞬、「どうしてそんな事を言うんですか」と言いかけてしまいましたが、レマ君の言っている言葉は、冷静に聞けば確かにその通りで、もう少し言葉を選べばよかったと、結局後悔をしてしまいました。

…フラウィアちゃんを追いかけようとしたその足は、氷のように固まってしまいました。ピクリとも動かせません。

 


レマ君はハッと鼻で笑うと、レマ君まで部屋の中から消えてしまいました。恐らく、フラウィアちゃんを追いかけたんでしょうか。

 


…確かに、出会ったばかりの、赤の他人のスフレが、事情も詳しく知らないのに偉そうな事を言うなんて、やっぱり酷かったんでしょうか。

 


…スフレは、間違ってしまったのでしょうか?…ねぇ、教えて?教えてください。スフレの記憶の片隅にいる、誰か…。

 


ーつづきますー

キャラ紹介しておきます!

スフレ 

記憶喪失の謎の女の子。何故かチーズケーキの匂いがする。根っからの敬語っ子。一人称を自分の名前にしているのは、訳があったりしなかったり。見た目は黄色髪で、ファンシーな格好をしている。頭に白い小さなシルクハットを被っている。目の色は左目がピンク、右目がクリーム色のオッドアイ

 


レマ 

フラウィアが大好きな少年。大好きすぎて女子にまで嫉妬する始末。どんな理由があろうとフラウィアを泣かせたり、傷つけた人を嫌う。性格はフラウィアに対してだけは表をだすが、それ以外には他人を見下したような口調になる。人を睨む時の目が凄く細い。家族の話をだされると、すごく怒る。見た目は薄茶髪で短髪。黒いカーディガンに黄色いネクタイ(赤い薔薇のアップリケがついてる)をつけている。目の色はネクタイと同じ黄色。

 


フラウィア 

植物大好き。元気いっぱいで度がすぎるお人好しな女の子。実は一国のお姫様。騎士団長の姉ととても賢い妹がいる。両親に将来は国を支える女王さまになれ、なんて言われているが、本人は植物研究家になりたいと我儘を言っている。だがしかし、植物以外の事に関しては、ほぼ無知である。つまりお馬鹿。見た目は黄緑髪で、2つしばり。お花をモチーフにしたヘアゴムで髪をしばっている。服はフリル付きのピンク色のワンピース。目の色は葉っぱのような緑色。

 


ファイ 

フラウィアの大親友と言われている子。親戚の叔母さんを手伝いに、今はフラウィアの国にある宿屋に住んでいる。すごく短気なので、悪口を言われるとすぐ怒る。大抵フラウィアがそれをなだめる。レマに喧嘩を売られているが、その理由を本人はわかっていない。ていうかわかる訳ないと私は思う。見た目は赤い髪でフラウィアと同じ髪型。服は茶色いYシャツに白いエプロン。フラウィアとお揃いのヘアゴムで髪をしばっている。目の色はオレンジ色。

 


眼鏡君(仮名)

詳細はいずれ。

 

紫ネズミ

詳細はいずれ。

 


レマ「(仮名)っていうけどわかる人にはわかるんじゃないのw?」

マイ「ま、まあまあ…」