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マイ ネーム イズ マイ

不定期更新しますですー

憂う華は卑怯者 4

『帰る場所がちゃんとあるんでしょう?待っててくれる人がいるんでしょう?なら、ちゃんと帰らなきゃ駄目です。スフレと違ってあなたは……あっ!
 
…ああ、逃げちゃった。スフレちゃんの言ってること、間違ってないのに。…間違ってない、けど。私はあまり家に居たくないんだ。ごめんねスフレちゃん…。
 
私の両親は、勉強やお稽古とかを、しつこくやれやれっていう。私には別の夢があるっていうのに、みんなは私の夢を無視するんだもん。『絶対向いてない』って。だから私の夢を断定的に否定する人たちとはあんまり一緒にいたくない。
 
 
…私は、とある子に助けられた。『自分の意思、意志を持つことが大事。親に逆らったっていい。自分がやりたいようにしなきゃダメ。』って教えてくれた。その子のおかげで今の私がいる。だから私もあの子みたいに人に優しくして生きていきたい…のに、今日は…傷つけてしまった、スフレちゃんを。…私のために怒ってくれたのに、その優しさを自分で振り払っちゃったんだ。
 
「…あ、そうだ…」
 
気分が晴れない。そういう時はあそこに行けば…いつもそうしてるし。
ファイにどこかへ行くなって言われてるけど、ちょっとくらいならいいよね。ごめんね、ファイ…。
 
私は忍び足で、誰にも気付かれないよう静かに宿から出た。
 
 
 
 
 
 
 
一方、居間の方では。
 
「…ん?今何か音したような?」
「きっと風の音よ…あ、ファイちゃん、そこの皿、洗っといてくれる?」
顔が少し老けた女性は、ファイに指示を出す。
「わかった、叔母さん!あ、叔母さんは絶対動いちゃ駄目よ!!」
ファイは頼まれた事をテキパキ、さっさと終わらせるが、女性がふと立とうとしたので急いでそれを止める。
「はいはい、わかったわよ。お腹の子のためにもね」
女性は困った顔をしながらも嬉しそうだ。そして自分のお腹をさすり、ふぅ、とため息をつく。
「あははっw楽しみだなー!兄弟とかいないからなあ、下の子ってどんな感じなのかしら?」
「あのねぇ。あなたの妹、弟じゃないのよ?」
「わかってるわよー!!あ、女の子?男の子?」
「んー、どっちかはまだわからないけど…双子ってことはわかってるわ」
「へー!じゃあじゃあ、名前は!?」
「そうねぇ、『ユーナ』と『セリノ』にしようと思ってるわ。どっちも女の子だったらの話だけどね。ふふふっ、男の子だったらの名前は、まだ決めてないわあ。」
「へぇ!…えへへっ、ユーナ、セリノ、よろしくねっ!あー、早く会いたい!」
「だから、まだ決まってないわよ…。はぁ」
女性はやれやれ、とした顔で呆れていた。だけどやっぱり女性の顔はどこかにこやかだった。
 
 
 
 
ユーナとセリノ。早く会えないかな、産まれてこないかなと家族に期待されている双子。
だが、この双子は、後に            と呼ばれるようになるが、それはまた別のお話。
 
ーーーーーーーーーーーーーーーー
ふぅ、やっぱりここが落ち着く。
 
さっきスフレちゃんを見つけた時にもいたこの花畑。この花畑は私が一番好きな場所。
 
空から見れば虹に見えるくらい色とりどりの花があるし、青く澄んだ海も見える。
 
「やっぱり綺麗だなあ」
 
でも、今日は一段と綺麗に見える。なんせ今まで夜には来たことなかったから。
夜のこの場所は月の光がお花を照らしていて、時に、せ…せ…せいじゃく…?を感じさせる。更にはホタルもふよふよ舞っている。たまにはこんな暗い静かなお花畑も、いいものだなって思う。
「これからは夜に行こうかなー?」
…なんて言ってみるけど、無理だよね。今日はたまたま見つかってないけど、明日はバレるかもだし…。
 
『帰る場所がちゃんとあるんでしょう?待っててくれる人がいるんでしょう?なら、ちゃんと帰らなきゃ駄目です。スフレと違ってあなたは……あっ!
 
………心配はしてくれてると思うよ。でも、多分私は、跡取りとしか思ってくれてないよ。私がいなくなっても「跡取りがいなくなった」っていう程度だもん。 どうせ。
だいたい、なんで私なの?お姉ちゃんかアンドーテに任せればいいじゃない…。私は勉強ダメダメだし、強いわけでもないし。
 
「どうして…」
 
…ダメだね、私、頭空っぽだから自分1人でなに考えても、答えはでてこないや。
 
「はぁぁ…ん?なんか落ちてる。…ぷ、ぷり…?ふぉ…?」
ふと足元を見ると、『Please look for a          』と書かれた藁半紙が落ちていた。だけど私にはなんて書いてあるのかさっぱり、ちんぷんかん、読めないや…
レマに聞けばわかるかな…よし、いったん戻ろうか、もうそろそろ戻らないと心配しちゃうだろうし!
 
「ふんふふんふふーんっ!」
暗い気分を少しでも晴らすために、私は大きな声で鼻歌を歌いながらその場を去ろうとした。けど、それが馬鹿だった。やっぱり私はみんなが言っているとおり、馬鹿なんだと改めて知らされた。
 
静かな静かな暗い夜。こんな時間でこんな場所に、一つの大きな音がしたら、誰もが耳を傾け、音がした場所に向かうだろう。
 
「…ま、魔物さん…!?」
 
黒い色に少し赤みを帯びた目をした、人1人握り、踏み潰せそうな太くて大きい手と足、私と同じ髪の色の体……私にとっては巨大な巨大な魔物さんが。私の前に急に現れた。私はびっくりしたあまり、腰を抜かしてしまった。
「あ、あぁぁぁあぁ…」
怖い、怖い…誰か助けてっ…!!
 
………なんて願っても誰も来ない。魔物さんは巨大な手を振りかざすと、私に向かって振り落としてきた。
 
「あがっ…!?」
その巨大な巨大な手は、その一撃で、私の身体全てに重い痛みを走らせた。しかも1発だけじゃない。2、3、4と、私が苦しんでる顔を見るたび、ニカァッと笑いながら襲ってくる。
「や、やめ…!!お願いっ…!!」
なんて言っても聞く耳を持ってくれない。黄緑の魔物さんは表情を変えないまま倒れた私を見下ろしている。
 
「うぅう…」
これは逃げた罰?自分の親から、お姉ちゃん、アンドーテから、スフレちゃんから逃げた罰?…そっか、そうなんだねっ……。
 
黄緑の魔物さんは、ニカニカ笑いながら、また手を振り上げる。しかも今度は今までのとは違い、ものすごく力をいれているみたい。次またやられたら、私はきっと死んじゃう。だってもう、意識がもーろーとしてる。クラクラする。大好きなお花さえぼやけて見えてしまっている。
 
次、攻撃を受けてしまえば、絶対ただじゃ済まないだろう。
……ファイ、今日久しぶり会えて嬉しかったよ。もっとたくさん遊びたかったなあ…。思えば何にもしてないなぁ…
レマ…ごめんね、いつも私のワガママばっかり聞いてもらっちゃって。
ごめんね、…あ…思えばいつも、レマの優しさに甘えてばかりで、レマにも何にも…してあげられていなかった…。
逃げてごめんなさい、パパ、ママ、グランディオスお姉ちゃん、アンドーテ…スフレちゃん。でもいつもちゃんと起こしてくれたり色んな事教えてくれたりしてありが……あ。
 
 
…ああ、なんて酷い人なんだろう、私は。散々家族の悪口を言っておいて、いざ自分がピンチになったら感謝するだなんて。…会いたくなるだなんてっ…!!
…最低だっ…!!
 
 
あ…もう、黄緑色の物体が私の…すぐ上に……ああ…最期にファイとレマ、家族の笑顔を思い浮かべながら力強く目をつぶった。さよなら、みんな…。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
…あ、あれ?痛くない?
おかしい、あの緑色の魔物さんは私に向かって攻撃してきたはず…あ!
 
気がつくと、私の目の前にはあの大きい魔物さんじゃなく…そこには……
ーつづくー
 
マイ「初めてスフレの出番なかったね!!w」
ス「。・゜・(ノД`)・゜・。」((
マイ「今回はフラウィアサイドでお送りしました!といっても、ちょこっとだけファイのお話あるんですけど。ユーナとセリノ、どっかで聞いた事ある名前だと思いますん!あ、ではでは!失礼しました!」