自然がない街 6
※グロ注意!!
「ごめんなさいっ!!」
「えっ」
朝、起きた瞬間、聞いた言葉はそれでした。
「と、突然どうしたんですか?え?え?」
フラウィアちゃんは何度もペコペコと謝っていました。とりあえず、スフレはどうしたらいいかわからなかったので、顔を上げてくださいと言ってなんとか落ち着かせました。
「ううー…」
「それで、あの。」
落ち着かせたのはいいものの、スフレ自身も困惑してきてしまいました。フラウィアちゃんになんて声をかければいいか、わからなかったのです。でも、逆に向こうが謝ってきて。てっきり、スフレ1人が悪いものだとばかり思っていましたが。
「…あのねっ!」
「…?」
「スフレちゃんの言うとおり、確かに、みんなを心配させちゃうのは、悪い事だと思うの。それなのに、私ね。自分勝手な我が儘で逃げちゃった。だから、ごめんなさい。」
先程の興奮していた時とは違い、今度は落ち着いた口調で、また頭を下げていました。
「…いえ」
スフレも、なにか言わなければ。昨日考えた事を、まとめて…
「ス、スフレも、何にも知らない癖にでしゃばった事を言ってしまい、その…ごめんなさい!」
スフレも、急いでベッドから降り、フラウィアちゃんのように、深々と頭を下げました。
「ス、スフレちゃんは何も悪くないんだよ!?私が悪いの!逃げちゃったから…」
「いや!スフレが悪いんです!変なお節介焼いて…何様って感じですよね!本当にもう!」
何故かスフレとフラウィアちゃんは、『私が悪いの』大会を開催していて、いつの間にか数十分くらい経っていました。その後、スフレ達は、もうなんだか色々と可笑しくて、大声で笑っていました。けど…
「あんたらうっさいわね!!ここ何処だと思ってんの!?他のお客様のご迷惑になるんだから少しは声控えなさい!!」
「「ごめんなさい!!」」
今度は『2人でファイちゃんに謝る』大会が開催されました。
「うー、ファイ怖いよぉ。」
「怖いもなにもないわ。」
ファイちゃんはふぅ、と溜め息をつき、てってとどこかへ歩いてしまいました。
「次からは気をつけようねスフレちゃん…!あの怒りんぼうファイを怒らせたら次はないよきっと!!」
「そうですね…!静かにしなければ!」
いつの間にか、私達には気まずい雰囲気もなく、いつも…いや、出会ってからまだそんなにも経っていないのにいつもというのはおかしいかもしれませんが、出会った時より楽しくお話出来ている、と思います。
「あ、忘れてたよスフレちゃん!」
フラウィアちゃんは、頭上に豆電球を出現させた後、スフレに手を伸ばして言いました。
「仲直りの握手!」
「握手?仲直りする時って、握手するものなのですか?」
「そうだよ!また仲良くしようね!って意味で!」
握手…なんだか照れくさいですが。
スフレはフラウィアちゃんの手を握り、2人で声を合わせて言いました。
『これからもよろしくね!』
「えへへ、嬉しいなっ!仲直りー!」
フラウィアちゃんは握手し終わったあと、くるくるとその場で回っていました。目、回らないのでしょうか。…あれ、そういえばなにか忘れているような気が…?…なんでしたっけ…?…あ。
「そういえば、レマ君は?」
スフレがはっと思い出したように言うと、フラウィアちゃんは
「あああああああ!!忘れてたぁぁぁぁ!!!!!!」
「うっさい!!」
フラウィアちゃんは雷の音のように叫び、雷の速さでファイちゃんが現れ、ゲンコツを喰らわせていました。
「うううう…」
「何度言えばわかんのかしら?ねぇ?しかもあれからまだそんなに間も経っていないんだけど?なに?あんたそこまで馬鹿だったの?」
「あわわわ…」
ファイちゃんから鬼のような凄まじいオーラを感じます!これは危険です!正直スフレもビクビクしてます!
「…ったく、で?何を忘れてたっていうのよ」
ファイちゃんは頭を掻きながらまた溜め息をつきました。溜め息ばかりすると幸せが逃げると聞きますが…いや、そんなことは置いといて。
「ううー、何から説明したらいいかなぁ…まず、私、スフレちゃんに謝ったら家に帰ろうと思ってたの。心配させちゃった家族に謝りに行こうかなって」
なるほど…でもレマ君はいったい…正直、まだレマ君は怖いですが、ちゃんと仲直りしたいですし。
「レマは一足先に帰るって言ってたよ!今はお家にいると思うよ?」
「そうですか…あの、フラウィアちゃん、よければそこへ案内していただけませんか?」
「え?レマのお家?いいけど何で?」
う、うーん。言って大丈夫なんでしょうか?レマ君はフラウィアちゃんとすごく仲いいみたいですし…ひとまず。
「ちょっと、用があるので。」
レマ君とも喧嘩したことは保留…とりあえず言わないことにしました。
「そっか!わかったよー!」
「なに?あんたらどっか行くわけ?」
「うん!お家帰るの!あと、レマのお家にも行くの!」
「レマ…あのいけすかない野朗か…ねね、ちょっと私もついてっていい?丁度お手伝いはお休みだから、暇だし。…あ、出番欲しいわけじゃ、ないのよ?うん。」
意外な発言でした。ファイちゃんも来る…?何故に…?あ、お休みだからか。ていうか、え?出番?
「いいよ!あ、ちゃんとお金は置いておくからね!」
フラウィアちゃんは考える間もなく、すんなりと許可をしました。さすがフラウィアちゃんです。
徒歩約30分。疲れたですぅぅ…
フラウィアちゃんが住んでる街。そこはなんと、全てが金属で出来た街でした。
道路も家もその屋根も、全て金や銀、鋼鉄で出来ていました。地面を叩くと、金属特有のゴオーンとした音が響き渡りました。空に飛んでいる飛行物体(飛空挺)すら、ギンギンに輝いて見えます。
「ここはメルヘイスといって、金属で出来ている街なの!」
「や、それは見ればわかるでしょうよ。でっかく門のところに名前書いてあるし。町並み見れば一目瞭然だわね。」
ファイちゃんはフラウィアちゃんに、ちょん、っとツッコミを入れました。
「頑丈なんだぞー!すごいんだぞー!」
フラウィアちゃんは誇らしげな顔でニコニコ笑っていました。
それにしても、随分と硬い街です。地面すら鋼鉄で出来ているんだから、砂一粒すら見当たらないです。こんなに頑丈な街なら、どんな災害でも怖くない気がします。火事でも起きない限りは…って、なんでこんな事考えてるんでしょう。
「でも」
…?
「この街には、自然がないんだよ。あるとしてもそれは作り物。」
…フラウィアちゃん?…どうしたんでしょう。フラウィアちゃんにしてはやけに静かな…
「ささ!早くレマん家行こう!」
「あ、こら!」
ファイちゃんとスフレは腕を引っ張られ、何事もなかったかのように連れられました。さっきのフラウィアちゃんは一体なんなんでしょうか?…深く追求しても、また傷つけてしまうから、追及しないでおきましょう。
フラウィアちゃんに案内された場所に進んでいくと、どんどん人や周りの建物がなくなっていきました。かわりに、奥に進むと、巨大な建造物がありました。見上げていると首が痛くなってきました。ここもやはり金属で出来ているんですねー。
「レマの家、あそこのおっきいゴーテーだよ!」
「うわ、大豪邸じゃん!あいつこんな所に住んでるの!?やばっ、大金持ちじゃん!!」
ファイちゃんはびっくり腰を抜かしていました。そして、なんだか羨ましそうな目であの豪邸を見ていました。
「レマー!いーるー?おーい!」
フラウィアちゃんは扉をゴンゴンと叩いていました。
「あぅぅぅ、痛いよう・・・」
手を傷めていました。そりゃあ、あんな硬そうな扉を叩いたら、痛くなって当然ですよね…。
「うーん、いつもならすぐに出てくるんだけどなあ。おかしいなあ。」
「どっか出掛けてるんじゃないの?」
「それはないよ!だってレマは…ん?」
「どうしたんですか?」
フラウィアちゃんが扉を触りながら話していると、なんと、扉が…
「開いてる…わね。」
「あれれ、鍵かけ忘れてたのかなレマ。不用心だよー!」
「あははは…」
「もう!勝手に入っちゃおう!!」
えぇ…いいんでしょうか?人のお家に勝手に入るなんて。…後で怒られやしないでしょうか。うう、でもフラウィアちゃんがいるから大丈夫、なんとかなるという謎の安心感があります。
ーーードンッ……
家にお邪魔した瞬間、どこかから重いものが落ちたような、そんな音が聞こえました。
「あれ?今なにか聞こえなかった?上の方から」
「まさか幽霊?いやいや、今昼間だし。」
ゆ、幽霊…あまり得意じゃないですぅぅ、怖いですぅぅ……
「もしかしたらレマかな?2階にいってみよう!音の大きさからしてそんなに遠くないよ!」
「で、ですね!」
…それにしても、こんなに広い豪邸なのに、人1人も見当たらない。スフレは無知だからよくはわかりませんが、こんなに大きくて広い場所、使用人か誰かくらいいてもおかしくなさそうなのに。あの「ドンッ」という音以来、物音1つしません。レマ君以外誰もいないのでしょうか。いや、レマ君がいると決まったわけじゃありませんが。
…何故だろう、嫌な予感、胸騒ぎがする。…気のせいだとありがたいのですが。
ーーーーーーーーーーーーーーー
「だぁぁぁ!意味がわからない!」
フラウィアに託されたこの紙、意味がわからない。
あのネズミ帽子、なにがこの紙見ておくといいよ、だっ‼︎こんな文字見た事ないんだけど!
それは、今朝起きた出来事だった…。
「この紙、全く読めないんだよー。レマ、これわかる?」
『Please look for a 』と書かれた紙を渡された。なんぞこれ。僕もわかんないんだけど。でも、フラウィアに頼られるのはこの上なく嬉しい。ここは期待に答えたい。よし!
「うーん、わからないけど、家にある文献やら何やら見て調べてみるよ!任せて!フラウィアは頑張って仲直りしなよ!」
「え、う、うん!わかったよ!!」
フラウィアに『任せて!』なんてかっこつけて言った僕が愚かだったな…。はぁぁぁ…。
「……」
本で調べるにも、図書館は無理だ。たくさん人がいるところは、とある事情で行けない。少しでも見知らぬ誰かに見られたら即アウトだ。しかも、家にある本はすべて読み尽くしてある。だがこの紙の手がかりになる情報は一切ない。
…知り合いで頼れる人いないかな。…”あいつ”にだけは絶対頼りたくないし。グランディオスさんやアンドーテちゃんは…いや、フラウィアに頼まれたのにその身内に頼るってどうなんだ…。あー、僕人間関係が浅すぎるなぁ。他に頼れる人が思い浮かばない…
どうする僕。もういっそ『わからなかった、ごめんね』なんて言って諦めるか…?でも…
『うん!…そのためには、スフレちゃんや家族にちゃんと謝らないとね。』
突然、フラウィアの決意の、あの言葉が脳裏に浮かぶ。その瞬間、あの時のゾッとした恐怖感が蘇った。
フラウィアはにげる事をやめた。
友達から。家族から。
一方僕は逃げたまま。逃げたままでなにもしようとしない。このままじゃ僕は置いていきぼり。焦りと孤独感が僕を蝕む。痛い。痛い。
逃げたままのフラウィアでよかったのに。そうすればずっと一緒に。2人で、いられたのに。2人ぼっち…なんてね。僕はあのままでよかった。なのに…ああ、諦めたら今度はきっと見放されて…
思えば、フラウィアがあんな事言い出したきっかけは…スフレってヤツが現れて、その次にフラウィアの親友って名乗るやつが現れて…それで……。
「クソッ‼︎なんでこんな嫌な気分で調べ物しなきゃ‼︎全部あいつらのせいだ…よっ‼︎」
ヤケになって机を勢いよく叩き、紙や本の棚をぐしゃぐしゃにした。すると、喉に激痛が走ってしまった。
「っ…‼︎ゲホッゲホッ…ゔぇっ…」
しまった、叫びすぎた…
口から鉄の味がするなにかが出そうになったけど、必死にそこらへんに置いてあったタオルで口を抑え、それを防ぐ。
「…ぜぇ」
まだ気持ち悪い感覚が残っている。あー、邪魔だ。こんな感覚。いっそ体ごとなくなってしまえばいいのに、なんて、
つい思ってしまう。…いつも。
…でも、この嘔吐感のせいで思い出せた事がある。自分の事を。
「…1人で、答えを見つけないといけない。一刻も早く。」
誰かに頼ったら負けだ。1人じゃなんにも出来ない役立たずになんてなりたくない。いつの日か自分自身に誓った、誰にも、フラウィアにすら言っていない僕の夢ためにも僕は…1人で、何でも出来るように、しなきゃいけないんだ。…なんでこんな大事な事忘れていたんだろうか。ああ、フラウィアの事で頭いっぱいだったからなぁ。トホホ。
「…フラウィア。待ってて。すぐ、すぐに…調べるから…あはははははは…」
…少年は、読み尽くしたはずの本を再び読み始めた。無駄だというのに、何度でも。
…少年の黄色い目は、未来を見据えられないほど、虚ろで光がなかったという。
ードタッ
しばらく時間が経つと、とても重いなにかが落ちる音がした。音がした近くには、真っ赤な赤い液体が床にこぼれていたという。
「あ…あぁ…しまっ…た…薬…あった……っ」
……少年は震えながら青白い液体が入った容器をポケットから出し、一滴だけ飲み干した。だけど、それで力尽きてしまったようで、少年は意識を手放してしまった。青白い液体は、容器からこぼれ落ち、あの謎の紙を濡らした。
紙にはこう書いてあった。
『探してください。 を 』
ーつづくー
スマホ壊れました。
電源はつくんですが一切操作ができませぬ。だからLINEがぁぁ((
というわけでしばらく連絡とかできそうにないです。しかもバックアップしてなかったからデータ消えるかもです、アボンです。なので今まで送ったり送ってもらったりした画像消えちゃうぁぁぁぁトークも消える((
萎え萎えMAXです、だれか癒し頂戴((((
い、以上6話と現時報告でした。((