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マイ ネーム イズ マイ

不定期更新しますですー

愛しき人よ貴方はきっと此処で 9

「…もしもし」

 繋がった声に耳を傾ける。聞こえた声は耳が痛いほどうるさい声。耳障りと言っても過言ではないほどだ。今から話す相手は俺の父の知り合いだ。ただの知り合いだったはずなのに、なんやかんやでほんの少しだけ仲良くなってしまった。
 
「なんだよ今忙しいんだ後にしやがれ眼鏡‼︎」
 
俺には眼鏡というあだ名が定着しているのだろうか。ってそんな事言ってる場合じゃない。
 
「至急、こちらに9-Q号を俺がいる場所に手配してくれ。重要患者だ。」
 
「え、重要患者⁉︎まじかよ⁉︎わかった!すぐ送る‼︎待ってろ!」
 
電話機からドタドタと重い走る音が聞こえる。正直うるさい。もう少し静かに走れないものか。
 
「あと、聞きたい事がある。」
 
「なんだよぉ‼︎今転送マシンで9-Q号送ってんだよぉぉ‼︎邪魔すんな‼︎」
鼓膜が破れる程の怒声。耳が痛い。俺はいったん電話機を耳から離した。離してもしっかり声が聞こえるのだから、どれだけ声が大きいんだという話だ。やれやれ。こいつと話してると精神力を非常に使う。
 
「なんとかシルト病って、なんのことだかわかるか?」
 
「あ?知るか‼︎切るぞ‼︎」
プツン、と音声は途切れた。いきなり切られた。全く…半分しか役にたたなかったな。
 
「め、眼鏡君、今の人は?お父さん?」
あんなのが父だったら俺は医者を目指してなんかいないし、家出も頻繁にしているだろう。うるさいのは嫌いだからな。だいたいあいつはまだ成人してない。
「ただの知り合いだ。きにするな。それより今、細長い丸い球体のロボットがこちらにくるから、構えておけ」
 
「え?」
 
女子全員は一斉にポカンとした顔をした。そしてその後、ドアを蹴破り、白い球体のロボットがベッドの前に現れた。9-Q号だ。どうしても急いで患者を俺の家に運ばなければならない時の非常用「救急」車だ。略して9-Q号。名前をつけたのはあのうるさいやつだ。
 
「ぎゃー‼︎でたあ⁉︎」
女子全員はお化けだー、やらなんやら騒いでいる。ここもうるさいな。まあ、あいつより大分マシだけどな…。 
 
「アウォーサマ、コチラノジンブツヲハコベバヨロシイデショウカ」
「ああ、頼む」
「リョウカイシマシタ」
ただの機械だというのに、若干棒読みだが、このロボットは人間が喋っているように声を出す。不思議なものだ。9-Q号は自分の体の蓋をあける。中には緑色の布団と様々な医療器具が入っている。9-Q号は慎重にレマを機械の中へ運ぶ。3人は不安そうな目でロボットを見ながら、じっとロボットを見ていた。
 
「デハ、サヨウナラ」
9-Q号はさっき突然現れた時の様に、また突然消えた。俺の家、病院に運ばれたんだろう。
 
「あの、あれでレマ君は大丈夫なんですかね…」
 
「大丈夫だ。あれで…俺の家、もとい病院に瞬間的に運ばるから、心配いらない。」
 
…今のところはな。何度も言うが病気の正体がわからないのでは、手の打ち用がない。父や父の部下がなんとかしてくれるとありがたいが、最近はあのうるさいやつのように、みな忙しいからな…。
 
「うう、レマ君に謝りたかっただけのに…まさかレマ君が…」
 
スフレはブツブツと悲しそうに小言を呟いている。そういえば昨日、仲直りしたいとかなんとか言っていたような気がする。…仲直りできたのかについて話を少し聞く事にした。
 
「はい、フラウィアちゃんとは仲直りできましたけど…でも」
 
「あのレマとは仲直りできなかったと。そうか。」
 
でも、フラウィアと仲直りできてよかったんじゃないか。…なんて照れ臭くて言えない。あの時、うっかり突き放したような言葉を言ってしまったのだから。
 
「そういえばスフレとアウォーだっけ?…知り合いだったのねぇ。
 
「あ、はい!ちょっと眼鏡君…じゃない、アウォー君には大分お世話になりまして!」
 
「別に、大した事はしてない」
 
本当はスフレにそう言われて少し嬉しい、が。感情をだすのは苦手だ。いつもこうだ。どんなに褒められても冷たい口調で放ってしまう。
 
 
 
 
「……」
フラウィアはさっきから俯いたままだ。余程レマが心配なのだろう。仲がいいみたいだからな。
 
「ね、ねぇ!あのさ!」
…落ち込んでいると思ったら、いきなり顔をあげた。
 
「私…ちょっと行かなきゃならない用事ができたの‼︎」
 
「用事ってなによ、どこに行くのよ」
 
「お花畑に‼︎お見舞いにはお花が必要でしょ!」
 
今運んだばかりなのに、もうお見舞いの事を考えているのか。早いな。
 
「レマ、お花大好きだからね!絶対喜ぶってー!」
意外だな、花が好きなのか、あいつは。…花は見舞いに一番適しているし、ちょうどいいだろう。
 
「そ!じゃあ私もそろそろ帰りたいしー、花畑までなら付き合ってやるわよ」
 
「私もお供します!あ、眼鏡君も来ますか?」
 
「無理だな。俺は元々は用事があったから、先にそれを終わらせなければ家へ帰れん。」
 
レマが運ばれた場所は俺の家だからな。俺が見舞いに行くということは一旦家に帰るという事になる。
 
「あんたの用事って?」
 
「グリフストーンを探している。」
 
「グリ…なにそれ」
 
「緑色の透き通った石の事だ。メルヘイスにしかないと言われている。知らないか?」
 
「グリフストーン…?グリフストーングリフストーングリフストーングリフストーングリフ…どこかで…」
 
「さあ…見た事ないわね。つか私、元々こっちに住んでないし。」
 
「スフレも知らないです…記憶喪失なもので…」
 
 
みな知らないか…。やれやれ、一から探さなければならないか。全く…。疲れるな。
 
「…あ‼︎ねぇ眼鏡君!駄目かもしれないけどお願いしていいかな?」
 
「なんだ。」
 
「レマのお見舞い、一階に来て欲しいんだ‼︎」
 
「何故だ。」
 
グリフストーンを探さなきゃならないと、今言ったばかりだろうに。
 
「あのね!グリフストーンならレマがよく拾ってたの思い出したの。」
 
「…‼︎」
 
なに、あいつが持っている、だと⁉︎
 
「なんでも、自分のために必要なものって、言ってたなぁ…どういう事かわからないけれど、もしかしたら分けてくれるんじゃないかな!」
 
…あいつはフラウィアに弱い。もしグリフストーンを持っているのだとしたらフラウィアがいればラクに手に入る!ようやく、材料が手に入る。ほんの少し希望が見えた気がした。寄り道をしてもいい事もあるものだな。
 
「わかった、行こう」
 
「やったあ!じゃあまずはお花からね!」
 
フラウィアはぱあっとニコニコと笑った。そして俺たちは外に出て、花畑へと向かった。花畑、ここに向かう途中で多分みかけただろう。だが俺はそんなのを見る暇がなく、さっさとここへ向かっていた。花畑は、話を聞くと、色彩りの花がたくさんあり、海があり、とにかく絶景らしい。ほんの少し楽しみだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
…だが聞いた橋には色採りの絶景などなかった。あるのは赤と橙色だけの絶景と轟音。暑い、熱い。今の季節はどうだったか。確か秋だったような気がする。秋なのにこんなにも暑い、熱い。夏の猛暑日よりも。
 
「な、なにこれ…‼︎う、うそだ、うそだ…」
 
黄緑髪の少女はあまりの絶景さに悲鳴をあげた。泣き叫んだ。感動したのだろうか、いや、こんな景色、感動するはずもない。
 
「水!水はないの⁉︎」
 
「こんなの、大雨でも降らなければ消えないぞ」
 
俺たちは水を求める。喉は一切乾いていない。何故求めるか、そんなの、この絶景を消すためだ。
 
赤と橙色の炎が燃え盛る、この景色を。
 
 
「…!みて下さい!あそこに人影が‼︎」
 
スフレは燃え盛る炎を指差す。指差した方向を見ると、ぼやっとだが確かに人影が見える。あの炎の中で生きているのだろうか。生きているとしたら奇跡としか思えない。
 
「行ってきます‼︎」
 
スフレはそう言うと止める間もなく炎の中に飛びこもうとした。
 
「な、バカやってんじゃないわよ‼︎」
 
赤髪の女はスフレの腕を掴み必死に止める。スフレは炎はなんとか避けますから!と言って話を聞かずに走っていってしまった。
 
「あああ‼︎あんのバカぁぁ‼︎」
 
「…っ、とりあえず、水を用意しよう。ここからお前のいえは近いのか?」
 
「ええ、近いわよ。ちょっと待ってて!」
 
赤髪の女はたったと炎がない方向へ走っていった。フラウィアさっきから絶望した表情で座ったまま、ピクリとも動かない。ここに座らせたままだと危ない。炎が広がる。 どうすれば…。
 
 
 
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーー
炎天下の中、スフレは人影へと向かう。どうか生きていて、そんな願いを胸に秘めながら。
 
地面は茶色い植物がたくさん。元々は花畑だったそうですから、たくさんのお花が燃え尽きてしまったのでしょう。炎が微かにあたる。熱い、痛い。身体はもう汗だくです。汗だくなのに体から何故か僅かに甘い匂いがする。いや、そんな事はどうでもいい、早く助けないと
 
 
『助けてなにになるの?』
 
あ、頭がいたい…え、誰…?他に誰かいるのでしょうか。どこかから声が聞こえた。いったいどこから?気のせい?
 
『ねぇ、助けてなにになるの?』
 
謎の声がしつこいほどに聞こえます。
気のせいではないようです。答えなければいけないのでしょうか。
 
『助けてあげて、感謝されたとして、それが嬉しかったとして、それはほんのひと時だけ。お互い、その時の感情はすぐに忘れる。忘れられちゃう。助け合いは無駄な事。そうでしょ?』
 
…この言葉、まるでスフレ自身がそう思っているかのような口ぶりです。助け合いが無駄なんて、これっぽっちも思ってなんてないのに…。
 
『そうやって無視する。都合の悪い事だけ見ないフリ聞こえないフリ。変わらないね』
 
「…‼︎」
 
スフレは後ろを振り向き、腕を振り上げた。声はもう聞こえなくなりました。
 
…都合の悪い事だけ見ないフリ、聞こえないフリ…?うるさいです、あなたに言われる筋合いはない。…スフレは…私は…あれ、『あなた』って誰…?スフレは声の主を知っている…?記憶が戻ってきているんでしょうか…喜ばしい事ですが嬉しいと思えない。なんだか複雑な気分です。
 
 
…炎を避けながら走っていると、人が岩の横で寝そべっていました。人影の正体はこの方でしょうか。寝癖がひどく、髪がピョンピョンと跳ねた紅色の髪の青年です。見た目からして、男性の方でしょうか。スフレはその人の腕をよいしょと抱え、さっきよりも慎重に行かなければならないため、急ぎながら歩く事にしました。男性の身体は、周りの炎のせいか火傷してしまいそうなくらい熱かったです。ですが熱さに耐え、スフレはなんとか進みました。
 
 
 
「う…酔う…」
 
「あ!」
 
やっと炎が少ない場所に着いた時、倒れていた男性が目をパチリとあけはじました。意識は取り戻したようですが、まだ顔色が悪そうです。
 
「…誰…だ、お前…」
 
「あ…スフレはスフレです‼︎あの、あなたは…?」
 
「…クレナ。」
…あれ、女の方でしたでしょうか!?声が男性とは思えないくらい高くて可愛らしい声…!もしや今まで勘違いを!?
「あの!女性の方でしたか!?」
「あ?俺は男だ…‼︎…離せ!」
「え、ええ⁉︎」
高くて可愛らしい声は、あっという間に男性らしい低い声になりました。あの可愛い声はスフレの気のせいだったのでしょうか?
 
クレナ君はスフレを思い切り突き飛ばし、全速力でスフレから走り去ろうとしました。でも…
 
「な…っ⁉︎」
 
地面に座っているフラウィアちゃんにぶつかり、ずっこけて、倒れてしまいました。…クレナ君は痛そうに膝を抱えていました。
 
「っ…いてぇ…」
ーつづくー
ファイ「新キャラ!?ここで!?」
アウォー「…まじか」
スフレ「ちょっとキャラ多くないですか?(やった!ついにスフレサイド復活!)」((
マイ「お黙り」
クレナ「……」