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マイ ネーム イズ マイ

不定期更新しますですー

色観るペンギンnot all color

そろそろ冬の寒さがやってくるころ、オイラは蜂蜜をかけたヨーグルトを食べながら、自慢のペンで、真っ白い紙に、カーネやナイメア、ドルピスたち妖精を描いていた。
 
「やっぱ楽しいな、絵描くのって。」
 
らしくもない趣味かもしれないけど、オイラは絵を描くのが好きだ。絵は、見えるものをちゃんと描ける、映せる。そう、よくわからないものでも。目に映っていれば描けないものなんてないのだ。目に映っていれば。
 
カーネはナイメアと喧嘩真っ只中。ナイトメアが喧嘩をふっかけ、カーネがそれに乗る。見ている方は面白い。本当は喧嘩は駄目だけど、喧嘩するほど仲がいいという。オイラはその喧嘩模様を描いてみる。
「ペテン羊‼︎」
「アホ猫」
 
 
ドルピスとドリピスは喧嘩はしてないけど、あの2人より仲がいい。ナイメアはありゃ共依存だな、と呆れている。共依存ってなんだ?まあいいや。とにかくオイラはその2人を描く。ドリピスとドルピスは「イェーイ‼︎」と言いながらハイタッチしている。本当に仲がいいな。微笑ましいぜ!
「イェーイ‼︎ハイ‼︎」
「イェーイ‼︎タッチ‼︎」
やっぱり、ハイタッチするタイミングも声をだすタイミングも一緒だ。1秒たりともズレがないな。
 
 
 
紫ネズミとスフレはお互い(?)気まずそうだ。けどスフレはおどおどしながらも紫ネズミに話しかけようとしている。ちょっと面白い光景だったのでその2人も描く。
「あ、あの、紫ネズミ君!」
「……」
スフレは無視されていた。ちょっと可哀想だ。ちゃんと答えてやれよとツッコミたいが今は絵に集中しているからそんなことできやしない。
 
 
 
 
 
「ペルーノ!なに描いてるにゃ?」
さっきまで喧嘩していたカーネがひょこっと顔を出す。今はペンを動かすのを止めていたからいいものの、動かしている最中に話しかけられたら顔面にペンを突き刺してるところだったなー。あぶねーあぶねー。
 
「お前らの絵‼︎見れ見れ‼︎」
オイラは、カーネたちが喧嘩したりドルドリがハイタッチしてたりスフレがおどおどしたり紫ネズミが無視してる絵をドンっ!と机に叩き、見せる。
 
ナイメアや他の連中が集まってくる。みんなはオイラの絵を興味津々に見てくれる。オイラが見てる世界を見てくれる。絵を描くのが好きな理由は自分の見ている世界を誰かが見てくれるっていうのもある。なんだか嬉しいだろ?自分が見てるものを他人が見てくれるって。
 
「オー!ミータチダ!ホントウ、ソックリ!」
「ペルーノウマイ!エ!ウマイ!シャシンミタイ!」
 
ベタ褒めかなー、ご機嫌とりかなー、なんて後ろ向きに捉えながらも、褒められれば嬉しい。どういった感情表現をすればいいんだろう。あ、こういう時は…。
 
「だーろー‼︎」
後ろ向きな部分は誇らしげな「色」で隠し通す。「こんな絵上手くないよー」なんてわざとらしく後ろ向きな発言をすれば、本当の本当に上手いと思ってくれた人は不快な思いをするとわかっている。そんなのいるか知らねーけど。だからあえて胸を張って自慢する。ドヤ顔うざいにゃ、なんて言われながらも。
 
「…?あれ…」
「ん?どしたー、スフレ。」
スフレは絵をジロジロ見る。なんだろ、オイラの絵にミスでもあんのか…?絵のミスは今まで指摘されたことがない。不安だ。どこを間違った?細かいところまで鮮明にオイラの世界を描いたはず。
 
「いえ、この絵、スフレたちはちゃんと映っていますが、ペルーノ君は描かれていないな、と思いまして。」
 
…ああ、なんだ。そんなことか。んだよ、心配して損した。
 
「あのなー!絵を描いたのはオイラなんだからそのオイラが映ってるわけないじゃん!お前らだって風景画とかを描くときわざわざ自分の姿を描くか?描かないだろ、さすがに。」
 
「でも、なんだかそれ寂しいですよ…スフレたちは描かれてあるのに。」
 
スフレは悲しそうな顔をしながら絵を見はじめる。なにを悲しむ事があるのだろう。「そこ」にオイラがいなくて当たり前じゃないか。うつっていないのだからさ。オイラは。
 
「いーの。絵ってのはな、描いた人の心の世界なの。自分の世界に自分はいないんだ。」
 
…自分の世界に自分はいない。それがオイラの世界。カラフルな世界に透明は映らないから。オイラがみているのはカラフルな世界。みんなはカラフル。オイラは観てるだけでいいんだ。このカラフルな世界を。
 
「お前、バカにしては抽象的な事言うな。正直腰を抜かした…」
 
ナイトメアはポカーン、といつものオイラより間抜け面をしている。笑いそうになったけど、今笑うと今夜とんでもない悪夢をプレゼントされるので、頑張って堪える事にする。
 
「え‼︎じゃあオイラバカじゃないって事⁉︎やった!」
 
「いや、お前はいつまでたってもバカペンギンな」
 
「えー‼︎ひでーぜ‼︎つか、バカじゃねーし‼︎ぶーぶー‼︎」
 
ナイメアによく呼ばれる、「バカペンギン」この呼称はあまり嫌いじゃない。バカはみんなに好かれるって聞いたことがあるから。それが良い意味であれ悪い意味であれ、それがどんなに重かったり軽かったりするものであれ。…オイラだってなるべくみんなに好かれたい。かといってすんなりバカを認めると、「素直でつまらない」と思われる。だからあえて、バカという言葉を否定している。まあ実際バカだから否定もなにもねーんだけどな。あははは。
 
っと、オイラにしては珍しく長ったらしい言葉ばかり並べたな。もっと簡潔に、単純な言葉でないとオイラらしくない。…気をつけなきゃ。楽しいことだけ考えよう。それがみんなの望む「オイラ」なんだろうから。
 
「…貸して」
 
「あ、おい‼︎」
 
紫ネズミは強引にオイラの絵を奪う。すると、カラフルな妖精たちが描かれている絵の裏に、鉛筆で、オイラの大好物のヨーグルトの絵を描いた。そして、紫ネズミはスフレに絵を回し、今度はスフレが絵を描いた。そしてドルピス、ドリピスへと続き、最後にカーネとナイメアが喧嘩しながらも鉛筆でなにかしら描いていた。
 
「ほら‼︎」
 
カーネはさっきのオイラのように机にドンっと絵を置き、叩く。紙にはよくわからない生命体が5体と、大きいヨーグルトが描かれていた。生命体の方は…新種の化け物か?なんだこりゃ。
 
「ネェネェ、ペルーノドンビキシテルヨ?」
「ネェネェ、ペルーノフクザツナカオシテル、ウレシクナイノカナ」
 
「え…いや、そもそもなんだこれ?」
 
「見てわからないですか⁉︎みんなでペルーノ君を描いたんですよ!紫君はヨーグルトだけですが…」
 
「こ、これがオイラ…?」
 
よくよく見たら、新種の化け物と思っていたものが、段々ペンギンや人の顔に見えてきたような、そうでもないような。これがオイラ、なのか。みんなにはこんな風にうつってるのか、オイラは…。
 
「んだよ、下手だって言いてぇのかよ、ぶっ殺すぞ、精神的に、夜中に。」
 
や、やばい、ナイメアがキレてる。悪夢をプレゼントされるっ‼︎ここは素直に言った方が身のためか…⁉︎
 
「や、違うって‼︎オイラ、今の今まで自分の姿みたことないからこれがオイラだってわかんなかったんだぜ‼︎」
 
「「「えっ」」」
 
…あれ、なんだ?なにかおかしい事言ったか?言ってしまったんだろう。みんなのこの反応からして。沈黙が痛い。素直に言っただけなのに。ああ、仕方ない、冗談って言ってごまかそう、そうしよ。
 
「冗談冗談!んなわけないだろ!あはははは!」
 
ごまかせたかな。大丈夫かな。ドリピスやドルピスのように心の中でも覗ければ安心できるのになあ…。
 
「みんなオイラの絵、描いてくれてありがとな!大事にするぜ!」
 
オイラは精一杯の笑顔で笑った。果たしてこの笑顔は偽りか本当か。オイラ自身ですらわからない。もう色がぐちゃぐちゃになってきているから、なにもかもわからない。だけどオイラは精一杯笑う。なんのために?さあ?バカだから知らねえ。ああ、もう駄目だ。原形が留められなくなる前に、早く、早く…この絵を…
 
落ち着け、落ち着け。そうださっき貰った絵を見よう。これがオイラ、みんなに映ってるオイラ。うん、よし。おっけー、おっけー。ん?隅っこをよく見ると、虫眼鏡がないと見えないくらいちーちゃい文字でなにかが書いてあった。
 
 
10.5 happy birthday   Peruuno
 
KNDDSM