すべては無から始まった 前編
※展開が早いです。グロテスクで鬱・
グサッ・・・
「・・・」
肉の斬られている音がする。どこから聞こえるか。
何で自分の腕からそんな音がするか。
一体誰に?・・・人間にだ。
「フンッ!役立たずが!
よく聞く言葉。
・・・どうやら僕は人間じゃないようで。「魔族」
「魔族」はこんな生活を送らなければならないようで。
斬られた腕を見る。紫色の液体が流れている。この紫色の液体は、
・・・人間から流れる血の色は赤だ。そして僕は紫色・・・もう、
「おい!何をしている!魔族!早く部屋に戻れ!!」
・・・まずい、早く戻らないと、今度は心臓を刺される。
「・・・わかっ」
ザシュッ
「あがっ・・・!?」
痛い。痛い痛い痛い。心臓・・・刺された。痛い痛い痛い。
「私語を慎め!『はいわかりました人間様!』だ!わかったか!」
痛い痛い痛い痛い・・・けど、我慢して言わなきゃ。
「・・・はいわかりました人間様」
「・・・ケッ、魔族は感情がないのか!これだから・・・
「がっ・・・」
人間は、僕の体を蹴飛ばし、牢屋に閉じ込めた。
刺された場所が猛烈に痛む。腕のほうの痛みは、
僕は胸を抑えながら、目を瞑って静かに横たわった。
・・・大丈夫。魔族はこんなことじゃ死にはしないんだ。
・・・大丈夫。こんなのいつものことだ。
・・・大丈夫。慣れれば、大丈夫。慣れれば。
・・・人間の奴隷として生きる事が、当たり前って・・・思えば。
こんなの、大丈夫だ。大丈夫。
・・・そういう風にいつも自分に言い聞かせている。
しばらく時間が経ち、目が覚める。
牢屋の前に人間がいる。人間は牢屋の鍵を開けた。ああ、労働か。
仕方ない、と思いながら僕は立った。
「・・・」
休んでいる余裕はない。人間の機嫌を損ねたら、
「ふざけるなよっ!!どうして僕がっ!!」
「・・・?」
騒ぎ声がした方をみる。すると、銀髪の男の子・・・いや、
ああ、新しく見つかった魔族だな。あれは。
「離せ!!離せよ!!」
その子は動けない手の代わりに足で人間を攻撃した。だけど、
「ぎゃあああああああ!!」
その子はけたたましく叫び、その場に倒れてしまった。
「・・・フン、どうする?こいつ」
「・・・仕方ない。引きずって牢屋にぶち込め!」
「わかった!」
その子はずるずると引きずられていき、
・・・ああ、可哀想に。と、思う。・・・でも、
どうして僕・・・いや魔族はこんな日々を送っているか。
むかしむかしのその昔。魔族という化け物達は、理由は不明だが、
それに気づいた人間達は、仲間を滅ぼされた恨みとして、
それが、何千年、何百年、何十年経った今でも続いているようで。
そう、僕は魔族の生き残り。いや、正確にいうと、
魔族の生き残りの子孫は、現在もたくさんいるが、
・・・僕は、大人になることも出来ず、
・・・・・・いいんだ、別に。僕はそれでも。僕は魔族。魔族は幸せになっちゃいけない運命なんだ。・・・それなら、その運命を貫き通すまでだよ。
・・・でも、少しだけ、幸せとはどういうものなのか、感じてみたかったかな。・・・でも、無理だろうね。
1日の労働が終わった。町に入ってくる魔物を討伐したり、
僕としては心臓を刺されるより腕や足を刺されるほうが、
「・・・・・・」
人間は僕の胸ぐらを掴んだ。そしてナイフで僕の腕を斬って、
・・・でも、その人は僕を蹴飛ばして牢屋に入れる。
「ぐっ・・・」
「・・・悪く思うな、魔族の子よ」
・・・他の人間と違って、
「・・・」
人間は言葉は残し、その場から去っていった。
「・・・よし、寝るか。」
・・・疲れたし・・・・・・視界がぼやけてきたし、
「おい!」
「・・・?」
隣の壁から、男の子のような、
「お前、ずっと前からこの牢屋にいるのか!?」
・・・この声は、聞き覚えがある。さっき見た、
「・・・うん。いるよ、・・・物心ついたときからね。」
「おい!じゃあ状況を教えろ!どうして僕は捕まったんだよ!
・・・まあ、そりゃそうか。
「・・・キミは自分が「魔族」だってことはわかってる?」
「・・・知ってるよ。死んだ親から聞いた」
「・・・なら、「魔族」が起こした出来事は知ってる?」
「・・・なにそれ、僕が何をしたっていうの?」
「・・・いや、君は何もしてないよ。」
「・・・は?」
僕はあの子に話した。「魔族」が人間を滅ぼそうとしたこと、「
「っ!なにそれ!!僕は悪くないし、
「・・・仕方ないよ。
「はあ!?冗談じゃないっっ!!
・・・うるさいなぁ。仕方ないんだ。人間は僕らを恨み続けてる、
「・・・よし、脱出してやる!お前も協力しろ!!」
「・・・いやだ」
「はあ!?なんで!?」
「・・・逆らったら、罰を受けるから。」
「・・・いいのかよ!?お前はそれで!?
「・・・・・・」
僕は銀髪の子の言葉を無視した。
「・・・っ、この意気地なし!」
・・・「意気地なし」・・・「意気地なし」
でも悪口だってわかってても怒るに怒れない。
カシャンッ!
隣の牢屋から鍵の開く音が聞こえた。・・・
「おい、脱出するぞ。意気地なし」
・・・え
その子は鍵をいじくると、また「カシャンっ!」
「は、離し・・・」
「やだね!意気地なしの言う事なんて誰が聞くもんか!!」
その子は僕を無視して、どんどん出口へと進んで行った。
「人間の警備なんて薄いから軽い軽い!」
と、調子に乗っているので、不安しか残らない。
・・・ああ、きっとたくさん痛いことされるだろうなぁ・・・
「よし!脱出!!」
・・・もう牢獄施設の外に出てしまった。ああ、どうしようか・・
「・・・ねえ、キミ、どうするの・・・これ、
「キミじゃない。僕はロンジェ。・・・
・・・確かに、僕たち魔族は人間の姿と変わらない。いや、
「大変だ‼︎魔族が脱走しているぞ‼︎」
「捕まえろ‼︎」
「げっ‼︎なんで脱出早々見つかったの⁉︎ありえないから!」
人間たちが僕たちの方へ向き、目を鋭く尖らせながら、
・・・魔族には隠せない特徴がある。それは・・・目。
「逃げるよ‼︎この町の外にね!」
銀髪の子は、僕の腕を引っ張って、人間たちから逃げた。
「ぜぇ、ぜぇ・・・疲れた」
僕たちは、人気(ひとけ)のない洞窟へと逃げ込んだ。
「ふんっ、ここは魔物が多いんだ。
・・・いや、魔物くらい、人間だってなんとかできるし・・・・・
銀髪の子は、自信過剰なのかな。
「・・・それにしても、何で人間の姿をしているのにばれたんだ・
「・・・目だよ。魔族はみんな、目が赤いんだよ。」
「・・・なるほど・・・それで。ま、いいや。
「・・・」
ここまで来てしまった。・・・もうなにがどうなってもいいや・・
・・・それにしても、これからどうしようか。
「ところでお前、名前は?」
「・・・え」
「『え』じゃないよ、名前は?」
「・・・」
・・・困った。名前・・・ない。僕に名前なんてない。
「・・・ない、名前、ない。」
「はぁ⁉︎」
・・・そりゃ、驚くか。この子はちゃんと、名前あるんだもんね。
「・・・そうか、お前、物心ついたときから、
「・・・」
銀髪の子・・・いや、ロンジェさんは、
「・・・な、なんだよ、なんで怒らないんだよ・・・」
「・・・え」
どうやらロンジェさんは、僕が怒ることを期待していたらしい。・
「・・・っ、ま、まあいい。じゃあ適当に『お前』
「・・・うん」
「・・・はぁ・・・。ん?・・・ねぇ、お前さ、
「・・・うん」
「じゃあ、今日が初めてだろ?外にでるの」
「・・・うん。」
「・・・じゃあさ、今、外にでてどういう気分?」
「・・・特に何も思わなかったよ?」
「・・・っ、ちょっとは感情表現しろよ・・・」
「・・・え?」
「もういいよ!」
・・・ごめんなさい、感情がなくて。・・・怒ったかな・・・
「・・・お前、何で僕についてきたんだよ・・・」
え・・・何でって・・・
「・・・そりゃあ、君が引っ張ってきたから・・・仕方なく。」
「仕方なく?じゃあ引っ張った時、
「・・・そっか。」
・・・抵抗してなかったんだ。わからなかった・・・。ああ、
「・・・はぁ・・・」
ロンジェさんは、僕の感情のなさに呆れたのか、溜息をついた。・
・・・名前すら持ってなくて。
続く。
よし、とりあえず終わりました( ̄▽ ̄)
じゅりちゃんたちの話を書くのをサボって、
いつも新しく登場したキャラはキャラ紹介してますが、
名無しの少年は・・・どうでしょうね!((
ちなみにこのお話での2人の年齢は、名無しの少年は6歳、
ではでは!最後までみてくださってありがとうございました!