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不定期更新しますですー

Bad  or Happy Birth day

「レディース、エーンジェントルメェェェェン!!!!今日は男子なら誰もが(例外もいるけど)望んだ日、バレンタインだよビュルア君!!」

「アホか、ていうか何でお前がでてくるんだよ、ここに。・・・あ、それを言うなら俺もだけどさ。(ていうかそもそも何で俺はここにいる?)」

「だってさー、ひどくなーい?最近ロト君と、とある幽霊君の出番ばっかりで・・・俺達だって主人公なのにさぁ!出番が少ない気がするんだよ!」

「アホかーーーーー!!てめぇあの小説に出番あっただろうが!!!我が儘言うんじゃねえ!!」

「でも、少しだけだよー?ていうかキミだって名前だけでてたよ?名前だけ」

「は?アレのどこに俺の名前が・・・」

「・・・どこだっけ」

「おい!!」

「ていうか、キミはクリスマスの時にたくさん出番あったからいいじゃないの(イチャイチャしおってからに!)」

「うっ・・・そうか。」

「あーあー、俺が主人公のお話とかないのかなー?」

「・・・お前の話は、お前の妹を主人公にしねえと描けないんだってさ、作者が」

「なんですとっ!?あのワガママ凶暴団子ちゃんを!?冗談じゃないよっw」

「んじゃ、茶番はこれくらいにして、そろそろ本題入るぞー。今回のストーリーは前半の主人公がミュア、後半の主人公がロトでお送りするぜ。んでセリフがめっちゃ多いから注意するんだな。あ、そうそう、リトの過去小説とその番外編で明らかになってない部分も判明されるかもしれないから、よろしくなー。(要はシリアス。)」

「ちょっとおおおお俺のお話はぁぁぁぁぁぁぁぁ」

「うるせえ!!作者にでも頼みやがれアホが!!」

「ううう!!(・・・ま、別にいいんだけどね、書かれなくても。)」

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2月14日 

今日はバレンタイン!いつもお世話になっている人たちに感謝の気持ちを込めてスイーツをあげる日!

「皆の喜ぶ顔が楽しみだなー!」

何十回も失敗してやっと出来たハート型のチョコケーキ!微妙にこげちゃってるけど、大丈夫・・・だよね?多分!ちなみに今まで失敗した分はイルジェーとアルフとあの男女(ロンジェ)に食べてもらったよ

!いやあ、大変だったなぁ。でも、頑張ったよ!私!

本当はロトにはチョコ味のアイス饅頭にしようかなと思ったけど、作りかた知らないし、いつも食べてるから新鮮味がないかなぁって。

あ、勿論アリュミや理瑠、ウィン、ルトやジェルイアにも、スイーツ作ったけどね!

「・・・はあ」

「あれ、お姉ちゃん、お疲れだね」

「誰のせいで・・・?」

「うげっ、ご、ごめんって!」

実はリヴお姉ちゃんにも少し、いや、かなーーーーーり手伝ってもらったんだ。実際、この成功したケーキの半分はお姉ちゃんが作ったといっても過言ではない。

「でもでも、お姉ちゃんだって恋人さんにチョコケーキあげる予定なんだから、ついでになったじゃない?」

「恋人!?ああああ、あげる!?なに言ってるの!!?ライトニング!!!!」

「え!?ぎゃああああああ!!」

稲妻があああ!!痺れるううううう!?!?お姉ちゃんやりすぎ!!

「・・・し、しび・・・」

「・・・はっ、やりすぎた・・・ごめんなさいミュア」

 

ー10分後

「うへー・・・」

まだ体が痺れる・・・お姉ちゃんまじやりすぎだってば本当に。恋人なんて冗談に決まってるじゃんかー。お姉ちゃんに恋人とかいる訳ないしー。本当冗談が通じないというか頭が堅いというか。あれでも私の

お姉ちゃんかよっ!って、ツッコミ入れたくなるね。でもそんなこといったらお姉ちゃんに『あなたはそれでも私の妹なの!?』って言われるか・・・。

私は今、町の喫茶店でアリュミたちと待ち合わせしている。これから、THE・女子会をするのだっ!そしてスイーツ交換をするんだー、楽しみだな!正直、こうやって友達と一緒に集まるのって、家の事情の

せいであまりなかったからね、私。・・・あ!来た!

「お待たせなのです!ミュア!」

「待ったかー?」

「お待たせ!」

アリュミと理瑠とウィンちゃんが、店内に入ってきた。3人・・・いや、アリュミの後ろに隠れてる銀髪の男女も含めて4人か・・・。チッ。4人は私が座ってる席へと来てくれた。

「・・・ったく、何で僕がこんなとこに・・・」

銀髪の男女は、グチグチと不満を呟いている。

「そんなに来たくなかったのなら、来なきゃよかったじゃん!か、え、れ、ば?」

私はそんな男女に対して、喧嘩を売ってやった。

「はぁっ・・・!?っていうか!お前!さっきはよくもあんな焦げたケーキを食わせたな!?」

「なによ!あ、あれは・・・ビターチョコを使ったのよ!超苦いやつ!」

「嘘付け!あれはどう考えたって焦がしたんだろ!?」

「証拠でもあるの!?あのこg・・・苦いケーキはもうあんたたちのお腹の中なんだから、焦げたっていう証明は出来ないわよ!?」

「・・・ッ!!」

ふふふふふ、こいつには戦闘じゃ勝てないけど、こういう口だけの勝負なら私の方が一枚上手なんだから!!・・・でも、お姉ちゃんやレマ、それから・・・リトには勝てませんがね。

「・・・子供みたいな喧嘩してないで、さっさとスイーツ交換を始めるぞ。他の客にも迷惑じゃからな。」

「「うっ・・・」」

た、確かに理瑠ちゃんに言うとおりだ・・・仕方ない、ここは一旦退いておこう。

 

 

 

喧嘩はひとまず置いておいて、私達はスイーツ交換を始めた。私はみんなにケーキを配った。一応あの男女にも。そして皆も私にスイーツをくれた。アリュミは、ミルフィーユっていうお菓子をくれた。本当は

自分で作りたかったんだけど、作る時間がなかったので、ちょっとお高いお店で買ったらしい。・・・ちなみに、この時期はバレンタインなので、恋愛小説がバンバン出版されているから、それを読んでて時間をなくしたんだってさ、さすがアリュミ。理瑠もお店で買ったお菓子をくれたけど、やっぱりお姫様だからね・・・・・・超超高級な和菓子をくれた。うーわ、見るだけで黄金に輝いてるよ・・・輝きすぎて食べれないよ・・・食べるけどさ。で、ウィンはチョコタルトをくれた。2人と違ってちゃんと手作りだ。あ、いやこの言い方は失礼か。まあいいや。・・・うん、ちょっと味見したけど、すっごい美味しい!さすが皆のお母さん!料理上手!

「・・・」

男女は私をジーーーッと睨んでいる。

「なに?・・・あ、そうだ!あんたもスイーツ渡しなさいよ!一応、ちゃんとしたものあげたでしょ!?今!」

「・・・やっぱり焦げてたんじゃないか、あれ」

「うっ・・・まあ、それはおいといて、とにかく早く!」

「・・・はあ、わかった。ほらよ」

男女は、一息つくと、ポケットからチョコ味の飴を取り出し、私以外の全員に渡した。

「飴・・・?スイーツにしてはちょっと小さくありませんか?」

「うるさいな!僕はお前らと違ってお金はそんなにないの!だから来たくなかったんだ!」

「あはは、まあまあ、くれただけでも、ありがたいわ。ありがとうね、ロンジェ」

「・・・っ」

ウィンは男女の頭をポンポンッと撫でた。男女は、頬をちょっと赤くしていた。ははーん、子供っぽいとこあるのね、あいつ。よし、弱点1つみっけ!ひっひっひっ!

「・・・って!なんで3人には渡して、私にはないのよー!?」

「・・・ああ、腹黒女には、さっき焦げた・・・いや、にがーーーいケーキをくれたお礼に、ちょっと特別なものを用意してあるんだよね。」

「・・・えっ?」

やばい、嫌な予感しかしないよ、逃げようかな。でも逃げたら逃げたで何か言われる・・・

「ほら。」

「・・・・・・・・・なあに?これ?」

男女が鞄から取り出したものは、とても食べ物とは思えなかった。すっごいドロドロッとしてるし、目玉とか魚の骨とか飾ってあるし、足生えてるし・・・。何コレUMA!?!?

「あははは、遠慮せず食べなよ?ほら!」

こ、こいつ・・・ニヤニヤしてる!!絶対わざとだ!絶対私を瀕死にさせようとしてるよ!!だけど、私はそれを上手く回避してみせる!!丁度今、上手いタイミングであの子も店に入ってきてくれたし!私って超幸運!

「あ!ルト!やっほー!!」

「お!ミュアじゃん!・・・あ!ロンジェとかもいる!よう!何してるんだ?」

「えっ・・・ルト?」

「あらあらまあまあ!ルト君とロンジェちゃん・・・!きゃあああ!!恋愛フラグですよ!!これは!!」

「店内で鼻血出すでない!あと騒ぐでない!!」

「ルト、バレンタインだからケーキあげる!あ!ジェルイアにも渡しといて!じゃあね!」

「え?お、おう、わかったー。」

ルトに軽く挨拶し、ケーキを2つほど渡し、私は何事もなかったように喫茶店を立ち去った。

「あっ!!あの腹黒女っ!うまく逃げられたな・・・チッ、食わせたかったのに、このゲテモノ料理」

「・・・それ、お主が自分で作ったのか?」

「当たり前でしょ。魔物を・・・うぐっ!?」

「作り方についてはグロテスクなお話になりますので、自重してください」

「・・・何の話してんだぁ?お前ら」

「ルト、あなたは気にしなくていいのよ?」

「・・・?なんだよー、一体何の・・・・・・ぐぎゅる、腹減ったー、あ、食い物ある!貰うぜ!」

「あっ、待て!それは腹黒女に渡すためのゲテモノ料理っ・・・!!」

「ま、まっず・・・」(バタッ

「・・・遅かったのじゃ」

「アリュミ、とりあえず魔法で治療してあげて!早く!」

「は、はい、わかりましたー。レイズデッド(瀕死回復)!!」

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「・・・あー、危なかった。あのゲテモノ料理たべるとこだったよー。」

食べてたら三途の川を下ってたね、多分。

 

・・・それにしても、ここはどこだろう?勢いでどこかしらの森へ来ちゃった。私、方向音痴じゃないはずなのになあ。

ふとケーキが入ってる箱の中身を確認する。よし、崩れてない!大丈夫!!・・・私の仲間であげてないのは、あとはロトだけだし(イルジェーやアルフにもちゃんとしたものあげるよ!?後で)ロトにあげる

やつだけは、何があっても絶対に崩したくないし。・・・い、いや恋愛的な意味はなくて、いつも振り回してばっかりだから感謝とお詫びを込めて・・・って、誰に言ってんだ私。

「・・・あれ?ミュア!」

「げっ!?ロト!?」

「げって・・・ひ、ひどいよ・・・」

後ろを振り向くと、本を数冊抱えたロトがいた。

「ご、ごめんって。いるとは思わなくて・・・で、何してんの?ロト」

「・・・あ、えっと・・・ちょっと、人を探してて」

「人?誰を?」

「・・・えっと・・・幽霊の・・・僕にそっくりの。」

「ロトにそっくりな幽霊・・・!リトか!でも、何でリトを?」

「そ、それは・・・うーん」

答えにくい内容なのか、ロトは口ごもってしまった。言えない内容なのか、あるいは言いたいけど勇気が出せなくて言えないのか・・・。ちなみに、言いたいけど勇気が出せなくて言えないっていうのは、いつものことなので、多分それだと思う。

「・・・あ、ところでミュアは何をしてるの?」

・・・む、話を逸らされたな・・・。まあいいや。渡してあげるか。

「ロトを探してたの!はい、これ!ケーキ!」

「・・・え?」

私がケーキの箱を差し出すと、ロトは驚いたような表情をした。そして、目に涙を浮かばせていた。え、何で!?ま、まさか私の料理が不味いと!?いやいやいや!今回はお姉ちゃんと一緒に作ったんだ!不味いはずは・・・!!

「な、何で知ってるの?」

「知ってるって、何が?」

「・・・え?違うの?あわわ、ごめん、思い込み激しいよね、そうだよね、味見・・・だよね?わかったよ、ちょっと待ってね」

「ちょちょちょ、ロト?ちょっと待って?え?なに?」

 

 

 

 

 


「・・・え?えっと、今日、僕の誕生日なんだ。」

「・・・」

「・・・」

「・・・え?ええええええ!?なにそれ!?誕生日!?知らないんだけど!?」

「え!?あ、あれれ?じゃあこのケーキは一体?」

「バ、バレンタインの・・・チョコケーキだけど。」

「・・・・・えええええ!?ミュアが僕にチョコをおおおおお!?」

どんだけ驚いてるんだ、この男・・・。

「な、なんだ、バレンタインか。そっか、そういえば今日はバレンタインでもあったね、あはは・・・。」

ロトはケーキの箱を受け取ると、嬉しそうな表情になったが、同時にちょっと寂しそうな顔になっていた。そりゃそうか。誕生日プレゼントだと思っていたものが、バレンタインのチョコだなんて、まあ、ちょっとがっかりするよね。クリスマスプレゼントと誕生日プレゼントを一緒にされるようなものなんだから。しかも、ネガティブなロトのことだからきっと『余ったから仕方なく渡したもの』だと思ってるんだろうな。・・・違うし、私はちゃんとロトに感謝してるし、ロトのおかげで私は今ここにいるんだしっ・・・だから、頑張って作ったんだし・・・。

・・・全く、しょうがないなあ。

「ロト!町に帰ろう!」

「・・・え?」

「今日はロトの誕生日なんでしょ?じゃあ今日は奮発して特別に何か奢ってあげます!」

「え、ええ!?いいよ、ケーキ貰ったし」

「バレンタインと誕生日は別だよ!!ほら、早く!」

「あ、あわわ、待って、待ってミュア!」

私はロトの手を引っ張った。けど、今日は珍しくロトはちょっぴり抵抗した。・・・何で・・・あ、そっか、リトを探してる途中なんだっけ。・・・邪魔しちゃった。

「ご、ごめんロト!」

「い、いや、大丈夫だよ。」

・・・そういえば、何でロトはリトを探してるんだろう。リトはロトの事すーーっっごく嫌ってるし、ロトは自分に嫌いって言った相手にはもう二度と近づかないもんだと思ってたけど。

「ところでロト、何でリトのこと、探してるの?」

今度は答えてくれるかな?とちょっと期待してみた。

「・・・誕生日、だから」

「え?」

「・・・今日が僕の誕生日ってことは、あの子も誕生日なはずだから・・・せめて、せめて、何かあげられたらなって思って、この本を渡したいんだ。」

「・・・ロト・・・優しいんだね。」

「・・・優しくないよ、僕が何もかも奪ったんだから、これは当たり前の事なんだ。」

「え・・・」

ロトはそう言うと、私に背中を向け、ちょっと俯いた。そしてしばらく経ったあと、また私の方へ向き・・・

「そ、そういうわけだから!ミュア!じゃあね!ケーキありがとうね!」

「待って!」

 

私は、またロトの腕を掴んだ。


「私もリトを探すよ!」

「え・・・?いい、の?」

「うん!いつもは私が振り回してばっかりだから、たまにはね!あ、ちなみに拒否権はございません。」

「・・・ミュア・・・うう、いつもありがとうね」

「何で泣くの!?ま、まあいいや、行こう!」


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(後半)

今日は僕の誕生日。でも本当は今日はバレンタイン、いつもお世話になっている人たちに感謝の気持ちを込めてスイーツをあげる日。

といっても、僕は忙しくてスイーツはつくれなかったんだけどね・・・。

何で忙しかったかというと、今日が僕の誕生日であるなら、あの子の誕生日でもあるはずだから、嫌われてるってわかってるけど、・・・・・・・何か渡せられればいいな、と思って、渡すものを選んでたり、あの子の居場所を突き止めたりで、色々大変だったんだ。

・・・でも、まさか今日、ミュアにケーキを貰えるとは思わなかった。しかもあの子を探すのを手伝ってくれるって・・・、しかもしかもこの後町に帰ったら何か買ってくれるって・・・うう、ミュアって本当に優しいよ・・・みんなにまだ誕生日知らせてなかったからこのままてっきり誰にも祝ってもらえないかと思ってたから・・・。

「そういえば、リトはこの森の奥にいるのー?」

「う、うん。色んな人に聞いた目撃証言からすると、間違いなく。」

色んな人っていうのは、・・・キクさんとか、メテリアスさんとか・・・人間じゃない方たちなんだけど、キクさんはともかくとして、メテリアスさんは確実に信用出来る。だから大丈夫。

「・・・あ!ねえロト、あんなところに誰かいるよ!」

「え?」

ミュアが指差した方向には、2人の人物の影があった。こんなところに何の用だろう、と思って恐る恐るそれに近づいてみると、黒い髪のポニーテールの女性と、フードで顔を半分隠した高身長な男性・・・?がいた。

「誰だろう・・・?」

「おーいっ!そっこのひとーっ!」

「あ、ああ、ミュア!?」

ミュアは何のためらいもなしにその2人に話しかけに行った。僕は草むらに隠れながらその場で待機していた。(けけけ、決して怖い訳じゃ)

「んー?誰?」

黒い髪のポニーテールの女性は、ミュアに顔を向けた。

「えーっと!私、ミュアっていうんだー!人探し・・・いや人間じゃないけど!人を探してるの!」

「あー!そうなの!実はあたしも人探ししてたんだ!あ、あたしはクロバ!こっちはミドリハ!」

「クロバちゃんにミドリハかー!よろしくー!ところで誰を探してるの?」

「それは・・・言えないな、あはははは」

「えー!何でよ!」

「なんでも!・・・あ、ところで、ミュアちゃんと一緒にいた男の子って、誰なの?草むらに隠れてるけど」

「え?・・・ああ・・・おーい、でてこーい!!」

「う、うう」

ミュアに呼ばれるがままに、僕はミュアたちの元へ駆け寄った。

「「・・・!!」」

クロバさん、それからミドリハさんは、僕の顔を見ると、ちょっとばかり驚いた顔をしていた。

「・・・?どうしたんですか?」

「い、いや、何でもないわ。ところで、あなたの名前は?」

「・・・ロトですが」

「・・・そっか、ロトっていうのね。・・・なるほどね。」

「・・・?・・・?」

クロバさんは、僕の顔を見てからどうも態度がもどかしい。ミドリハさんも、僕を少しだけ見ると、そっぽを向いてしまった。ぼ、僕何かしたのかな?いや、もしかしたら顔に何かついてる!?うわあああああ恥ずかしい!!鏡・・・鏡は持ってない!あああ、どうしよう、確認の仕様がない!!

「どしたのロト、そんなきょどっちゃって・・・って、ええええ!?」

「え、どうしたのミュアそんな驚いて・・・ってうわっ!?」

気が付くと、先程から全く、一言も喋っていなかったミドリハさんが、僕の頬を抓っていた。

「いいい、痛いれふミドリハさんん!!」

「・・・!す、すま、ない。・・・つい」

ミドリハさんは、急いで慌てて頬から手を離した。クロバさんはそれを面白可笑しく笑っていた。

「け、怪我、は、して、ない、か?」

「し、してませんけれど・・・?」

「・・・よかっ、た」

ミドリハさんは、何を安心したのか、ホッと溜め息をついた。

「ははっ、ごめんねロト君、ミドリハが。」

「い、いえ!そんな!大丈夫ですってば・・・わぷっ」

「ほえっ!?」

今度はクロバさんが、僕の頭を撫でてくれた。

「・・・じゃあね、ロト君、ミュアちゃん!あたしたち急いでるから!さよなら!」

「え?あ、は、はい」

「・・・ま、て、クロバ、・・・ごにょごにょ」

「!ああ、そうね。そうした方がいいかもしれないわね。」

・・・?こ、今度は一体なんなんだろう・・・?

「これ、ロト君にあげるわ」

「・・・え?」

クロバさんが僕たちに差し出したものは、四つ葉のクローバーの形をしたお守り、2つだった。

「な、何ですか?これは」

「あたしが作ったやつ。あ、もう1つはあなたたちが探している子にあげておいてね。」

「え?え?あの、状況が理解出来ないんですが!!?」

「じゃあねー!!」

クロバさんは僕の言葉を遮り、ミドリハさんの腕を引っ張ってどこかへと走り去っていった。そしてちらっと見えたミドリハさんの目は、真っ赤に光っていた・・・気がした。

 

「・・・ロト、なんだったのかな?あの2人。」

「・・・僕にもよくわからないけれど、とりあえずこれ・・・あの子にあげればいいんだよね。」

・・・なんだろう、このお守り。・・・見てるだけで悲しいような、でもそれと同時に懐かしくも感じる。・・・何か不思議な力が宿っているのかな。・・・なんてね、そんなワケないか。

 

『う、うう・・・』

「!」

森の奥から、苦しそうなうめき声が聞こえてきた。

「ミュア、今の聞こえた!?」

「うん!多分あれはリトだよ!行こう!」

 

 

 

 

声がする方に行くと、そこには紫色の火の玉があった。あれは「あの子」だ。そしてそこからうめき声が聞こえてきた。

『たす・・・けて、・・・れか・・・しいよ・・・』

声の内容は、はっきりと聞き取れない。けど、僕にはわかる、多分・・・言ってる事は・・・

「おーい!リトー!!おっきてー!!」

『・・・?・・・っ!!!』

ミュアの声に反応して、火の玉は足がない人の姿に形を変えた。

「・・・チッ、キミらか。・・・・・・何の用?今すっっごい不機嫌なんだけど」

う、うわぁ、負のオーラが漂ってる・・・絶対怒ってるよ

「・・・あ、まさか僕を潰しに?ハッ、舐められたものだね。2人がかりでなんてさぁ。でもお生憎様、僕は今戦う気力ないから。」

「ち、違うよ!何でキミはいつもいつもそうやってマイナス的な方向にしか考えられないかなぁ!?」

「ロト、それ人の事言えないからね?」

うっ・・・。ミュ、ミュアの言うとおりだ。僕も人の事・・・ううう。

「・・・で、何の用なの。はやくしてよ。」

「・・・実は、渡したいものがあって」

「・・・は?」

僕はこれ以上怒らせないために、急いで頑張って選んだ本を差し出した。

「・・・なにこれ」

「・・・ほ、ほら、今日は誕生日でしょ。・・・知らなかったと思うけど、誕生日ってお祝いされるためにあるんだって。だから、その、僕からじゃ嫌だろうけど、誕生日プレゼント!」

「・・・・・・」

あの子は、少し黙ると、僕に向かって魔法を繰り出してきた。僕には掠った程度で済んだが、差し出した本は、魔法のせいで燃え尽きてしまった。

「うっ・・!」

「ちょ、リト!何するの!?せっかくロトがっ・・・!!」

「頂戴って頼んでないし。・・・誕生日・・・ははっ、嫌いな日に嫌いな奴から貰っても困るんだよね。」

「き、嫌いな日・・・嫌いな日ってどういう事なの!?」

「うるさいな」

あの子はそう言うと、ミュアにまで魔法を繰り出そうとしてきた。だけど僕はしっかりとミュアを守った。

「・・・フン」

「・・・っ」

嫌いな日・・・あ、そうか、この子にとって誕生日って・・・。ああ、そうだ。やらかした・・・。何で気が付かなかったんだろう。

「・・・・・・で?用はこれだけ?」

「・・・む」

あの子は宙に浮きながら、僕たちを蔑むかのように笑いながら睨んでいた。

やっぱり、僕からじゃ嫌だよね、そうだよね。わかってたよ。あの時からずっと独り憎しみに囚われてるこの子が一番憎んでるのは、僕自身なはずだから。

・・・でも、駄目なんだ、このまま敵対し続けるのは。少しでも、少しでも助けたいんだ、あの子を。けど、どうすればいいかな・・・?

・・・!あ・・・そうだっ!いいことを思いついた!!

「ミュア!ごにょごにょ・・・」

「え?・・・ふむふむ、勿論、OKだよ!!」

「・・・今度は何をするつもり?」

「リトー!ケーキ一緒に食べよ!」

「・・・はっ?」

「丁度余りのケーキが2つほどあるのですっ!(イルジェーとアルフの分だけど、まあいっか!!)さっきロトにもケーキ渡したしー、ほらほら、3人で一緒に食べよう!」

「・・・・・・なんのつもり?」

「えっと、僕ね、教えてもらったんだよ、1人で食べるより皆で食べるほうが美味しいって。だから、いつまでも怒ってないで、たまには楽しくさ!・・・それに、もう、わかりあえないかな?僕たち。・・・これ以上あんなことしても、永遠に苦しいままだよ?」

今度は僕が教える番だ。あの時の、アイス饅頭を食べたときの楽しさを・・・!

「・・・・・・っ」

あの子は、ちょっと俯いたが、口が笑っていた。そしてケーキの箱を受け取ってくれた。ちょっとはわかってくれたのかな?よかった。

僕たちもさっそくケーキを食べようと、ケーキの箱を開けて、ケーキを一口食べた。・・・あれ、このケーキ、クッキーの様な食感が・・・しかも微妙に苦い・・・。ケーキにかかってる抹茶ソースのせいじゃないよね、これ。・・・ま、まさかこれミュアが作ったの!?えええ!?こ、これがミュアが作ったのだとしたらすごいよ!だってミュアの作る料理はいつも黒こげだし・・・。

「・・・?あれ?」

あの子は、ケーキを一口も食べずに、ただ宙に浮きながらケーキを食べている僕たちを眺めているだけだった。食べないのかな?と思っていると、やっと口を開いた。

「ありがとう。」

・・・!?こ、この子が『ありがとう』って!?ええええええ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とでも言うと思ったの?馬鹿だね。地獄の業火に焼き尽くされろ!!ヘルフレア!!」

「っ・・・!?」

あの子はそう言うと、また魔法を繰り出してきた。でも、さっきの魔法より、かなり高度な魔法・・・上級魔法を使ってきた。

僕たちは、同時にその魔法を喰らってしまい、僕たちは大きな傷を負いながら倒れてしまった。そして辺り一面焼け野原になった。魔法は、ケーキにも被害が行き、もう食べられないくらいに焦げて、まるで炭のようになってしまっていた。

「う、うう、何するのぅ・・・リト・・・」

「あっはははははははは!本当馬鹿だよね、キミたち。僕がそう簡単に『ありがとう』なんて言うわけないでしょ?なのに呑気にお茶会?してさ。馬鹿じゃないの?」

「・・・何で・・・す、少しはわかってくれたかと思ったのに・・・」

「ハッ、頭の中お花畑なんだね。僕には『楽しい』とか『嬉しい』っていう感情はない。あるとするなら『憎い』って感情しかないんだよ。そんな僕がキミ達の気持ちなんて理解できるわけがない!!」

「・・・そんな・・・はずはっ・・・!」

「黙れよ。」

「うぐっ・・・」

あの子は、自分で自分に魔法で攻撃した。すると、僕自身にそのダメージがいってしまった。

「・・・言っておくよ。僕とキミ・・・いや、僕とキミたちがわかりあえるなんて、そんな事、絶対に無理なんだよ!・・・僕はやめるつもりはない。永遠に苦しむことになったとしても、何もしないまま苦しむよりはマシだもの。・・・じゃあね!あっははははは!!」

・・・そう言って、あの子は姿を消した。苦しそうに笑いながら。

 

 

 

 


ーあれから数十分後、僕たちはトボトボと町へ帰っていった。

「・・・んー、結局、リトに私達の想いは伝わらず・・・だったね。・・・しかも、クロバちゃんから頼まれたお守り渡せなかったし」

「・・・そう、だね。」

あの苦しそうな表情・・・やっぱり助けたい、けれど、あの子自身がそれを拒んでいる。・・・やっぱり戦うしかないのかな。

「・・・ところでロト、リトは誕生日が嫌いな日って言ってたけど、どういうことかわかる?」

「・・・ああ、それか。・・・魔族は昔、・・・いや、今も少し続いてるけれど、人間の奴隷として生きているのは知ってるでしょ?」

「う、うん」

「・・・魔族は成人になったら処刑されるんだ。あの子にとって誕生日は、処刑されるまでのカウントダウンのようなものだったんだよ。」

「・・・っ!?」

「それに・・・さっき、うめき声をあげてたし、あれは今日の8年前の夢を見てたんだと思う。・・・だって、今日だから。あの子が川に溺れてしまったのは。」

「・・・川に溺れちゃった日・・・その日はリトの誕生日、だったの!?」

「・・・うん、最近知ったんだけどね、それ。・・・そして僕という人格が生まれた日でもあるんだ。だから今日はあの子の誕生日でもあるし僕の誕生日でもあるんだ。」

・・・そして、ビュルアさんたちの人生が狂い始めた日でも、僕があの子から何もかも全てを奪って、狂わせてしまった日でもある。すべて、僕が生まれてしまったから始まってしまったんだ。・・・悲劇も惨劇も。・・・あはは、こんなことミュアたちに言ったら、確実に嫌われるよね・・・。

「・・・そっか。」

ミュアは僕の話を聞くと、寂しそうな顔をした。同情してくれたんだろうな。

「・・・でも、誕生日は本当は祝われるべき日なんだって、皆が教えてくれた。だから僕もあの子にそれを教えたくて・・・けど、やっぱり無理なのかな。」

「・・・弱音はいちゃ駄目だよ!そんなんだからいつまでたってもネガティブ真面目っ子なんだよ!私たちも協力するよ!リトを助けるの!」

「・・・ミュア・・・ありがとうっ!」

やっぱり、ミュアは優しいな。

昔あの時、手を引っ張ってくれたように。

で、でもネガティブ真面目っ子はちょっと嫌かな・・・。あははは。

「さてさて、とりあえず、ロトの誕生日プレゼント買いにいっくよー!!」

「あ・・・忘れてた。いいの?」

「いーのいーの!何がいい?」

「・・・んー、じゃあ・・・やっぱり、本かなぁ」

「またっ!?どんだけ勉強好きやねーーーん!!」

 


ーーーーーーーーーーーーーー
「・・・はぁ」

なんやかんや言っておいて、ケーキ持って来ちゃったけれど、どうしようかな、これ。・・・まあ、食べれるだけでもありがたいことだし、食べるか、少しだけ。

 

・・・何コレ、苦っ!しかもケーキの食感じゃないよこれ・・・誰が作ったんだよ・・・。

「・・・・・・」

それにしても、あの時の、幸せそうなあいつらの顔、抑えこんでたつもりだけれど、やっぱり憎くてしょうがなかった。

・・・やっぱり、こんな僕があいつらとわかりあえるなんてそんなこと絶対無理なんだ。

・・・でも、こんな嫌な日にこそ、気分晴らしに・・・ちょっとは付き合ってあげてもよかったかな・・・。

「・・・!」

な、何を考えてるんだ僕は。駄目だ、そうだ、あれは僕を騙すための作戦に違いないんだ。あの言葉、あの行動はすべて嘘だ。騙されるな、騙されるナ、ダマサレルナ・・・

 

他人を憎む事しか出来ないこんな僕を心から想ってくれるやつなんて、手を差し伸べてくれるやつなんて、絶対にいないんだから。

 


ー終わり

シリアスでごめんちゃい★((

今日は、ロトとリトの誕生日です!!と、いうわけで2人の小説を書きましたとさ!この2人は・・・どう足掻いてもシリアスになる・・・。((

今日くらいはハッピーなストーリーにしたかったけど無理だったよ!!ごめんね2人とも!!

ロト「ひ、酷い・・・」

リト「・・・」

ちなみに、この小説はリトの過去小説と微妙に繋がってますのでそちらのほうも見てくださいな((
どこにどうやって繋がってるかは・・・うまく言えないのでご想像に((

次回はらるちゃんのお話でも書こうかな・・・。書かないと怒られそうだし。
ラ「ムキー!!!!」←

ではでは!最後までありがとうございました!これからもロトとリト、そして他のキャラたちもよろしくお願いします!!