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不定期更新しますですー

Hope possess

夜  蒼野家  樹理華の部屋。

とりあえず家に帰ってきた私は、家に入ったあと、アラルさんの容態が心配なため、急いで自分の部屋に戻った。お兄ちゃんに『そんなに慌ててどうした?』と聞かれたが、『宿題がたくさんあるから早めに終わらせないといけないの』と、言い訳をした。実際、宿題がたくさんあるから、嘘はついていない。

で、今に至るんだけれど・・・。

ア「うーん、むにゃぁ・・・あれれ?ここは?」

樹「や、やっと起きましたか・・・」

ア「んー?・・・あれ!?ミレーナは!?私を襲ってきたやつは!?」

樹「あー、それは・・・」

私は、アラルさんに、先程起こったことを説明した。ヒロさんという人(?)が現れ、そのヒロさんがミレーナさんをどこかへ消したというを。

ア「な、なるほどぉ・・・うー、私としたことが、敵に背後をとられちゃうなんてぇ・・・不覚。」

樹「ま、まぁまぁ、そんなに落ち込まないでください」

ア「うー、ありがとぅ、樹理華ちゃん・・・」

樹「い、いえ・・・それより、アラルさん、色々お伺いしたいことがあるんです」

ア「ん?なあに?私でよければ何でも答えるよ!」

樹「えーと・・・まずは、あなたは何者なんですか?」

ア「え?私・・・?あっ!!しまった!あの時は色々説明出来なかったねー!」

アラルさんはごめんごめん、と笑いながら謝った。

ア「それじゃ、説明するね!改めまして、私はアラル!精霊なの!精霊っていうのは、万物の根源をなしているとされる不思議な気のこと、または草木や動物に宿っているとされる超自然的な存在の事をいうの!ちなみに私は星を司る精霊なんだよ!ふふんっ!」

樹「な、なるほど。」

ア「でね、私たち精霊は、ある日突然現れた謎の怪物たちを倒すために、怪物を全滅させようとしたの。」

樹「怪物・・・怪物って、ミレーナさんたちですよね。」

ア「うん、そう。そして、怪物共は、全ての人類を絶望させることを目的としているみたいなの。さっき見たでしょ?ミレーナが、子供虐めてるところ。ああいう感じで。」

樹「な、何でそんなことを・・・?」

ア「それが、私にもよくわからないの。今まで戦っていたやつから聞いても、『人間を絶望させたいから』としか返事が返って来なくて。具体的なことは・・・。」

樹「そ、そうですか・・・。って、戦っていた?アラルさんって戦えてたんですか?」

ア「っ!!た、戦ってたの!ていうか、私だってもともとはこんなに小さくなかったの!!怪物の1人に呪いをかけられてぇ・・・本当は樹理華ちゃんより身長大きいんだからね!!」

樹「は、はぁ・・・」

アラルさんの話はどうも信じがたい(主に最後)。何から何まで現実ではありえなさそうな非現実な話ばかり。でも、実際、怪物をみたわけだし、私自身にもヘンな事が起こったし・・・って、忘れてた、私が一番聞きたい事。

ア「信じてないでしょー!!本当なんだからー!!」

樹「し、信じてます、信じてます!で、あの、まだ聞きたいことあるんですが!」

ア「何ー!早く言ってー!」

まずい、アラルさんを不機嫌にしてしまったようだ。うう、簡潔に聞くか・・・。

樹「あの時、アラルさんの名前を呼んだら、服装が変わったり、魔法が使えたりしたんですが、アレ・・・なんなんです?」

ア「むー、あれ?あれは・・・今言ったとおり、私は少し前まではちゃんと怪物と戦えてたの。でも、とある怪物に呪いをかけられちゃって、戦えなくなったの。でも、戦えないけど、出来る事があるの!」

樹「・・・?」

ア「それは、自分の力を人間に分けること。精霊に力を分けてもらった人間は、魔法を使うことができるようになるの。ただ、魔法が使えるようになるのはほんの一定時間だけなのねー。」

・・・じゃあ、私はアラルさんに力を分けてもらったんだ。それで、魔法が使えるように・・・。

ア「ちなみに私の名前を叫んでって言ったのは、合図みたいなもので、本当は私の名前を呼ばなくても力を分けてあげられてたんだよね。

樹「なるほど・・・で、なんで私、あんなフリフリの衣装に・・・?」

ア「ん?えーと、それはー、私にもよくわかんないんだけど、私の魔力の影響で、衣装が変わっちゃうんだと思う!」

樹「・・・はぁ」

・・・とりあえず、まとめると、アラルさんは精霊で、アラルさんはある日突然現れた怪物を倒すために戦った。しかし、怪物に呪いをかけられて、こんなに小さくなってしまい、戦えなくなってしまった。けれど、何も出来ない訳じゃなく、人間に力を分け与えられることができ、自分の代わりに怪物と戦わせることができると。・・・この説明でわかりますでしょうか・・・。わからなかったらごめんなさい・・・って、誰に言ってるんだろう、私。

ア「さて!ひととおり話したところで、樹理華ちゃんにお願いがあります!」

樹「な、何でしょう?」

ア「お願い!私と一緒に怪物達を倒してくれない!?」

樹「・・・えっ?」

ア「さっきも言ったとおり、私1人だとあの怪物たちを倒せないの!でも!樹理華ちゃんがいれば・・・!」

え・・・えぇ・・・そんなの・・・

樹「む、無理です!お断りします!!」

ア「な、何でー!?ミレーナの時は戦ってくれたじゃない!」

樹「あの時は自分の身を守るために仕方なくっ・・・!ていうか無理です!私弱いです!多分すぐやられちゃいます!他をあたってください!!」

ア「無理だよー!もう私、樹理華ちゃんに力を分けちゃったから、それ以外の人にはもう力を分けられないんだよ!」

樹「な、何でですかー!!?」

ア「だから!樹理華ちゃんには力を分けてあるんだってば!樹理華ちゃんの体の中には、私の力が残ってる・・・はずだから」

樹「え」

ア「2人以上に力を分けてたら、実体を保てなくなっちゃうもん。だから、精霊1人につき1人にしか力を分けてあげられないの。」

樹「・・・そ、そんな・・・」

最悪だ・・・。

緊急事態だったとはいえ、あの時、うかつにアラルさんの名前を叫ぶんじゃなかっ・・・いや、そもそもミレーナさんに歯向かわなければ・・・。

・・・私、なんでミレーナさんに攻撃してしまうようなことを・・・ああ、そうだ、子供たちを助けるために・・・

なんで助けたんだっか・・・・・・何でだっけ。あの時の自分の考えが、よくわからない・・・。





・・・私は気弱で、臆病で、勇気もなんの欠片もない子だって、自分でわかってる。だから、人1人救うことも出来なさそうな私が、私1人で怪物を助けるなんて、無理な話だ。でも、私以外に頼れる人は、いないみたいだけど・・・どうしよう。

ア「樹理華ちゃん・・・」

樹「・・・あ、明日」

ア「えっ?」

樹「あ、明日・・・まで、考える時間をください・・・。」

ア「・・・!!わぁい!うん!わかった!」

樹「あ、あの、まだ決めたわけじゃ」

ア「わぁいわぁい!」

・・・アラルさんは私の話など聞く耳持たずに、ワイワイとはしゃいでいた。これは・・・もし断ったら罪悪感が残りそうだ・・・。

・・・とにかく、明日まで、ちゃんと考えておこう。アラルさんと自分のためにも。









翌朝。

制服に着替え、いつもどおり朝の支度をして、家から出ようとすると、お兄ちゃんが部屋から顔をだした。

おお・・・今日は珍しく、お兄ちゃんが早起きをしていた。

樹「あ、お兄ちゃん、おはよう」

浩「ああ、おはよう。・・・なぁ、樹理華」

樹「ん?」

浩「昨日、友達、きてたのか?昨夜、お前の部屋から話し声が・・・」

ギクッ

樹「あ、ああっ、そそそれは、電話だよ!私、友達できたんだ!火奈美ちゃんと由乃ちゃんっていうんだけど・・・」

浩「・・・?そうか。」

樹「う、うん!じゃあいってくるね!また学校で!」

浩「・・・おう。」

私は逃げるように家を後にした。

浩「・・・樹理華にケータイって持たせたか・・・?」








2年3組教室前。

お兄ちゃんを誤魔化して、何とか学校に着いた。

ア「うう、苦しいー」

樹「ちょ、ちょっと我慢してくださいっ」

アラルさんには、カバンの中に隠れてもらっていた。アラルさんは、自分自身に特殊な結界を張ってあるらしく、特殊な人間にしか見えないから普通に出てきても問題はない、と言っていたが、万が一のためだ。無理にでも隠れてもらった。

ア「ちなみに、怪物も特殊な人間にしか見えないよ。でも、ミレーナの場合、結界張ってないから普通の人間にも見えちゃうんだけどね。」

樹「そ、そうですか。」

ア「うん」


火「おっ!じゅりりーん!おっはよう!」

由「おはよー。」

樹「あ、おはよう!」

教室に入ると、火奈美ちゃんと由乃ちゃんがいた。

火「えへへっ、今日は珍しく朝練(柔道部)が休みだったから遊びにきたわ!」

樹「あははっ、そっか!」

思えば、転校してから、火奈美ちゃんと会う機会が少ない気がする。そりゃそうだ。由乃ちゃんは同じクラスだし、同じ部活に所属している。けど火奈美ちゃんとは違うクラスだし違う部活に所属しているから、話したりする機会があまり多くない。

火「そういえば、あたしじゅりりんのことあんまり知らないのよねー。」

由「まあ、そりゃそうね、会って間もないんだし」

樹「あはは・・・」

火「ねえねえ、じゅりりんって何が得意なの?あと趣味とかは?」

樹「えっと・・・得意なこと・・・得意なことはない、かな。私、不器用だから何をやっても駄目で。」

火「えー?そう?じゅりりんって何でもできそうだけどなぁ」

樹「・・・あ、趣味ならあるよ。私、読書をすることや星空を観察するのが好きで・・・って、地味だよね、あははは」

火「そんなことないよ!てか、読書はおいといて、星空ならあたしだって好きだもん!」

由「読書はおいとくのね・・・ま、あんた勉強とか苦手だし。」

火「うるさい!!そういう由乃だって!!」

由「あんたよりマシ!!」

樹「あ、え、えと・・・2人は?」

2人の得意なことや趣味なら、聞かなくてもわかるだろうけど、一応聞いておく。

由「ゲーム」

火「柔道」

樹「や、やっぱり?」

予想通りの答えだった。由乃ちゃんは空いてる時間はすべてゲームに使っているし、火奈美ちゃんも柔道部、張り切ってるみたいだし。

ガラッ

3人「?」

勢いよく扉が開く音が聞こえた。

大「やっほ!皆おっはよー!」

樹「…⁉︎か、鹿島さん⁉︎」

ザワザワ…

「ねぇ、あの子…」
「鹿島君だよね…」

鹿島さんが挨拶すると同時に、クラス中から、ヒソヒソ話が聞こえた。

「うん…そうだよね」
「やっぱり…何しに来たのかしら、早くどっか行ってよ…」

ヒソヒソ話の内容からすると、どうやら鹿島さんは、このクラスでは良い様には見られてはいない様だ。むしろ、悪い方…?

火「…誰だっけあいつ」

由「…あんた鹿島のことは覚えてないのね…2年1組の鹿島大地。部員が1人しかいない新聞部の部長よ。」

火「…あ!そういえば、そんなのいたわね!いやー、あまり絡まないもんだから、忘れてたわ。」

由「ったく」

火「てか、なんであんたは鹿島のヤツを詳しく知ってるわけ?」

由「…さぁね。」

大「今日は噂の転校生さんにインタビューしに来ました‼︎ってわけで蒼野さん」

樹「⁉︎は、はい…」

大「こんな大人数がいるところでインタビューするのもなんだし、人少ない場所に来てよ。」

樹「え、えぇ⁉︎⁉︎」

大「頼むよー、お願いー、ネタ不足なもんで」

…こ、これは…

私はこのパターンをよく知っている。これは、人が少ない所へ連れ込み、影で暴力を振る…つまりいじめ…‼︎

ああ、やっぱり鹿島さんは私の予想通りの人だ。(悪い意味で)

樹「い、いえ、遠慮させてイタダキマス…」

大「えーっ、てか、なんでそんなビクビクしてんの?大丈夫?」

樹「し、してませんっ‼︎」

大「…じゃあさぁ、そこの女子2名も同行してもらおうよ。それなら、安心でしょ?」

樹「え…」

火「うん?あたしら?」

由「…」

大「そ、そ。それなら、仮に僕が蒼野さんに何かしても、なんとかなるでしょ?ね、お願い、ネタ不足なんだってば」

樹「え…えぇ…?でも2人が大丈夫かどうか…」

火「あたしは別にいいわよ!」

由「…いーわよ。」

樹「じゃ、じゃあそれでいいです」

大「よっしゃ!じゃあ、こっちこっちー!」




鹿島さんに案内され、人数が少ない場所に辿り着いた。

大「さて、と。」

火「ねー、何のインタビューするの?」

大「あー、インタビューってのは嘘。」

樹「⁉︎」

や、やっぱりいじめ⁉︎いやぁぁぁあああ⁉︎

大「個人的に聞きたい事があったの。昨日の事っていったら、わかるかなぁ?」

樹「昨日…?」

昨日…昨日といえば…あ‼︎

まさか、見られてた⁉︎

樹「どういうことですかアラルさん‼︎あ、あれ、見えないんじゃなかったんですか⁉︎」

由「ど、どうしたの?なんでカバンなんかに話しかけてるの?」

ア「あれ?もうでていーの?よっと」

火「ぎゃー⁉︎」

由「⁉︎」

大「あ、何か出てきた」

ア「だから、言ったでしょ?普通の人間には見えないって。私や変身した樹理華ちゃんが見えるってことはこの子も樹理華ちゃんと同じ、特殊な人間ってわけ!何回言ったらわかるのー?」

樹「えー⁉︎じゃあ鹿島さん…」

大「なーに?てか、話が見えないんだけども?」

火「な、なんか浮いてるぅ…」

由「なにこの浮いてるやつ」

樹「⁉︎」

ま、まさか火奈美ちゃんや由乃ちゃんにまで、アラルさんが見えてるの!?

大「ねぇ」

樹「あ、ああ!えっと、この子について事情説明します!ついでに昨日の事も‼︎」

かくかくしかじかしかくいむーb
ア「作者、やめんかい」



由「なるほどね、要は、樹理華ちゃんは魔法少女になったのね、理解、理解」

火「簡単にまとめすぎじゃない?」

由「いーのよ、これで」

樹「え…信じてくれるの?非現実的な話ばかりなのに!」

火「とーぜん!じゅりりんがウソつくわけないし!…いや、正確な言い方をすると、じゅりりんってウソつけなさそうだから本当なんだろうなって。」

樹「うっ…確かにウソつくのは苦手です…」

由「ゲームではそんな展開、よくあることよ。現実で起こっても、ありえない話ではないわ。」

由乃ちゃんの適応力がすごい…。

大「…でも特殊な人間って一体なにさ?僕、いたって普通の男子中学生なんですけど」

由「私だって、大金持ちってことを除けば、普通の女子中学生よ」

火「あたしだって、普通の女子中学生だと思うわよ?」

…そうは言ってるけど、この3人、普通…ではない気がする。
鹿島さんは2年生にして部長を務めているみたいだし、由乃ちゃんも大金持ちのお嬢様で、失礼だけどゲーム中毒だし、火奈美ちゃんは、聞いた話、火奈美ちゃんが出場した柔道の大会は、全て優勝してるみたいだし。

…待って。じゃあ何の特徴もない私がどうして特殊な人間なの?
いや、むしろ私は気弱で臆病で不器用で特技も何もないし、マイナス的な部分しかない。

ア「特殊な人間ってのは身分とか環境の問題じゃないって私の友達の精霊が言ってたわ。」

由「?」

火「どゆこと?」

ア「えっと…確か、強い心の持ち主…って言ってたかな?あれ?」

樹「つ、強い…心…」

強い心なんて、尚更持ってるわけがない。悪口を言われただけですぐ泣いちゃうし、ヒソヒソ話もされるの苦手だし他にも色々…あぁあぁ‼︎何で心が弱い私がその『特殊な人間』なの⁉︎理解出来ない‼︎

大「…ねぇ、さっきから蒼野さん、雷に打たれたような顔してるけど、大丈夫なわけ?」

樹「あ…い、いえ…問題ないです…あるけど…」

大「…あっそ。まぁ、聞かないでおくよ。」

火「…はっ‼︎ねぇねぇ、じゅりりんがアラルに力を貸してもらったように、あたしらも変身とか出来ちゃうわけ⁉︎」

…え?

ア「出来ないことはないだろうけど…精霊があと3人いなくちゃ…

樹「…つまり、精霊があと3人いれば、私が戦わなくても、怪物たちはなんとかなるんですよね。」

ア「えっ、あっ…いや」

樹「決めました。私、戦いません。ではっ!失礼します!」

ア「あ!待って!樹理っ…」

大「…蒼野さん、ちょっと一言いい?よくなくても言わせてもらうけどさぁ」

樹「…え」

大「他に出来る人がいるからって、全部他人に投げやりにするの?元々は、君がアラルに頼まれてた事なんでしょ?それなのに、全部放り投げるわけ?他人任せでなーい?」

鹿島さんは、あの時と同じような、呆れたような表情で言った。でも今度ははっきりとわかlった。

樹「だって…私、お金持ちのお嬢様というわけでもないし、力が強いわけでもない。むしろ弱い方で…」

大「そうやって、自分は弱いですアピールでもすれば許されるとでも?」

樹「ち、ちがいます‼︎本当に…私は…」

……弱いんだよ……。
現に…逃げようとしてる。わかるでしょ。これで、私がどんな人間かなんて。私は弱い、弱いんだよ…。

大「あーあ、ねえアラルー、何でこんなろくでなしな子に一緒に戦うように頼んだわけー?僕理解できなーい」

ア「えっ…」

樹「…っ‼︎」

鹿島さんの言葉は、グサグサッと私の心に突き刺さった。…私は今にも、泣きそうになってしまっているだろう。鹿島さんの言葉で。


キーンコーンカーンコーン…

樹「…はっ」

丁度いいタイミングで、朝の予鈴チャイムが鳴った。

樹「で、では、そういうことですので!アラルさん、さようなら!

ア「ちょ、ちょっと‼︎……行っちゃった」

火「…じゅりりん…」

大「あーりゃりゃ、怒っちゃったかぁ」

火「…‼︎あんた、反省してないの⁉︎あれはさすがに言い過ぎよ‼︎」

大「知ってる。わざとあんな風に言った。」

火「んな…‼︎何で‼︎⁉︎」

大「ククッ、なんでもかんでも優しくすればいいってもんじゃないの。特にああいう気弱な子にはね。おわかり?」

火「だ、だからって‼︎」

由「ストップ!もうすぐHRよ!ケンカは後にして。」

火「う、うぐぐ…」

大「…へいへい。」

由「さ、教室に戻るわよ。アラルは、樹理華ちゃんに会うのは気まずいだろうから、火奈美のところにいなさい。」

ア「わ、わかったぁ…よろしくねぇ、火奈美ちゃん…」

火「う、うん…じゃ、私、2組に戻るわっ!」

由「えぇ。私も今行くわ。…」




火奈美は、アラルと一緒に先に教室へ向かっていった。残ったのは私と…鹿島大地だけになった。

大「…園澤さんは、行かなくていーの?遅刻するよ?」

由「走れば問題はないわ。多分。それより鹿島…」

大「2人の時は大地でいーよ。」

由「じゃあ、私も由乃でいいわ。」

大「…」

由「…」

ほんの少しだけ沈黙が続く…けど、数秒くらい経ったら、大地が話しかけてきた。

大「…んで?何か話あるんでしょ?何?時間ないからなるべく簡潔に…ね?」

由「…わかった。…あのさ、大地…そろそろ…」

大「あー!もうそろそろHRだ!もう戻らないとヤバいな!話の続きはまた今度ね!由乃!…まぁ、また会えるかは、わからないけどね。」

っ…大地は話を逸らすプロだ。やっぱり話を逸らされた。

由「あっ、ちょっと!置いてく気⁉︎」

大「えー、わかったよ、ほらほら早く!」

由「うわっ…⁉︎」

ぐいっと手を引っ張られた。大地は私の手を掴み、スタタッ、と走っていた。

大「なーに?文句があるなら置いてくけど?」

由「っ!わ、わかったわよ!」




2年3組教室前。
大「ふぅ、ギリセーだね。」

由「ぜぇ、ぜぇ」

こいつ…大地は普段全く運動しないくせに足がものすごく速い。だからついていくのが大変だった。

大「んじゃ、これで本当にバイバイね。じゃあね、…園澤さん。」

由「…えぇ。またね、鹿島。」

大地はニヤリと笑うと、1組の教室に入っていった。私も、3組の教室に入った。





放課後  部室前。

今日の授業、全く頭に入らなかった。今朝の事、鹿島さんに言われた事がずっと気になっていた。


大「他に出来る人がいるからって、全部他人に投げやりにするの?元々は、君がアラルに頼まれてたんでしょ?それなのに、全部放り投げるわけ?他人任せでなーい?」

大「あーあ、ねえアラルー、何でこんなろくでなしな子に一緒に戦うように頼んだわけー?僕理解できなーい」


改めて考えてみれば、確かにそうだ。元々は、私がアラルさんに頼まれていたのに、火奈美ちゃんたちに怪物と戦う事を頼むとなると、全て鹿島さんの言う通りだ。私は確かに

樹「…ろくでなしで、他人任せだなぁ。」

…でもそんな私が、アラルさんが言っている心の強い人…特殊な人間ってことになってるんだよね。
…なんでだろう。


樹「…」
今日は…部活に行くのは気まずいなぁ。多分、由乃ちゃんいるし…
恐らく、由乃ちゃんも今の私に呆れて嫌いになりかけているだろう。今朝の事で…。

勝「よー!蒼野!なに部室前で突っ立ってんだ?」

樹「!…か、雷田先輩、こんにちは。」

勝「…?どうした?暗い顔してよ」

樹「え…」

勝「へへっ、顔にでてんぞ?」

…なんということだ、まさか顔にでてたとは。

勝「俺でよかったら相談のるぞー?ほらほら、先輩になんでも言えー‼︎」

雷田先輩は、私の肩をポンポンと叩いて、にっこりと眩しく笑った。

…じゃあ、少しだけ、先輩を頼ってみようかな。

樹「…じゃ、じゃあ、お言葉に、甘えて…。私、昨日、とある仕事…のようなものを頼まれたんです。でも、私じゃ出来なさそうな仕事だったので断りました。」

勝「ほうほう…」

樹「でも、私にしか頼めない仕事だったようなので…じゃあ1日考えさせてくださいって言ったんです。」

勝「ふむふむ…」

樹「…そして今日、私が断った仕事を他に出来そうな方を見つけて、その人達に任せようとしたら…怒られてしまって…」

勝「…なぁ、その仕事って、一体なんなんだ?」

樹「そっ、それは…秘密にしといてって言われてるので、言えません…」

さすがに本当の事を言うわけにはいかない…。信じてもらえるかわからないし。

勝「ふーん。じゃあその仕事って、すごい大変なものなのか?」

樹「…はい」

勝「じゃあさ、お前、仕事を断ったってことは、やりもしないで断ったのか?」

樹「…あ、いえ、少しはやりましたよ。」

勝「失敗したのか?」

樹「…失敗…ではないと思いますが、成功とも言えないような…」

あの時は、確かに襲われていた子供たちを助けられた。けどミレーナさんを傷つけてしまった。

勝「んだよー、はっきりしろよー」

…でも、ミレーナさんは消えてなくなったわけじゃなさそうだし、子供たちは助かったし、どちらかというと、成功に近い気がする。

樹「…どちらかと言うと、成功ですかね」

勝「なんだよ、お前、成功したっていうのに、諦めてるのか?」

樹「だ、だって…まぐれかもしれませんし…」

勝「ドアホーーーーーー‼︎」

樹「わっ⁉︎」

雷田先輩の声が、3階中に響いた。よ、よかった、今誰も近くにいなくて…

勝「『まぐれかもしれない』だとぉ?じゃあまぐれじゃないかもしれないだろ⁉︎なに諦めてんだよ‼︎続けもしないで‼︎」

樹「ひぃぃぃ‼︎すいません‼︎」

勝「1回しかやらないで、しかも成功したっていうのに、勝手に辞めんな‼︎このネガティブ娘‼︎」

樹「う、うぅ」

ガラッ

樹「ん…?扉の開く音…」

翼「うるさいです先輩静かにしてください」

勝「ぐはっ…‼︎」

バタッ

樹「せ、先輩⁉︎」

翼「うるさいから銃もどきで撃っといた。命に別状はないわ。安心なさい」

樹「いや…安心できな…」

翼「安心なさい」

樹「…はい」

…睨まれた…怖い…

翼「…にしても丁度いいわ。今日は由乃がいないから、退屈してたのよ」

樹「え…由乃ちゃんが…?」

…ま、まさか、私に会いたくないから…?そ、そんな…やっぱり嫌われて…

翼「…なんでも、用事が出来たらしいけど、詳しくは知らないわ。…ま、なんでもいいわ。早く部室入って。」

樹「は、はい…」




翼「…」

白川さんは部室に入ると、今日も機械は造らずに、ぐでーっと床に座った。

翼「…あのさ」

樹「は、はい?」

翼「さっきの雷田先輩との話、聞いてたわよ」

樹「うっ…聞こえてたんですか」

翼「部室前で大声で話されちゃ聞こえるに決まってんでしょ。…でさ」

樹「…?」

翼「話、聞いてて思ったんだけど、確かに雷田先輩の言うとおり、続けもしないで、しかも成功してるくせに放り投げるのはどうかと思うわ」

樹「…」

翼「それに、その仕事というのは、あなた1人でやるものなの?」

樹「え…」

翼「…質問を変えるわ。あなたは今、独りなのかしら、それとも独りじゃないのかしら?」

樹「…?今は白川さんと一緒に部室にいますよ?」

翼「…いや、そういう意味じゃなくて」

樹「…?」

ppppp…

翼「ごめん、電話。ちょっと待って。」

樹「あ…はい。」

ケ、ケータイ…いいなぁ…

翼「…いるけど?で?…わかった。じゃあね。」…ピッ

樹「…?」

翼「樹理華、今すぐグラウンドに来てって、由乃と火奈美が。」

樹「え…どうして?」

翼「緊急の用事だって。早く行きなさい。私はここにいるから」

樹「…?わ、わかりました。では、失礼します!」

翼「…いってらっしゃい。


      ……樹理華、さっきの質問、あなたの行動で、示してもらうわよ。…あなたは独りなのか、そうでないのか…ね。」

?「…翼」

翼「…何。」

?「…あの子…」

翼「…樹理華のこと?」

?「…うん。あの子、心が不安定なのに…どこか強い力を感じた。不思議、あんな子初めて見た」

翼「…ふーん、そう感じたのね。…ま、私には他人の心を読む力なんてないから知らないけど」

?「…あの子、強いのかな」

翼「…強いんじゃないの?精霊が選んだくらいだし。…ただ、今は弱いけどね。」

?「…うん。今は弱いね…。今は。」

翼「…はぁ、あんたが言ってた樹理華の『心が不安定だけどどこか強い力』を発揮してくれるのはいつになるのやら。」

?「…案外、すぐかもよ」

翼「…そうだといいわね」

ー続く

はい、終わりますたー( ̄▽ ̄)
今回はシリアス部分とかわけわかめな部分が多かったですよね、ごめんなさい…あ、でもいつもの事か…。((


アラルと樹理華の説明、理解できましたでしょうか?私にはそれが不安で仕方ないです…だって私文章下手だもn((

あ、そうそう、最後の翼ちゃんと話していた子、あの子の紹介はちょっと先になるかもしれないです、はい。

ではでは!最後までみてくださってありがとうございました!( ´ ▽ ` )ノ