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ダンガンロンパR Despair city  ≪序章≫

ミチェ「あ、アテンションプリーズですっ、この作品はダンガンロンパの世界観を借りて作られた、二次創作ですので、公式とはなんの関りもございませんので、ご了承ください!あ、でもネタバレが含まれています。すみません。い、色々と初めてな事に挑戦しているそう、なので、大目にみてあげて、くださいね。あ、あと、グロテスクな表現が多々あります、から。そこらへんもご了承ください…今回はそんなにないと思いますけど…で、では、以上、チェリーでした…うう、なんでオレがこんな…あ、わ、わたくしは一切でてきませんからね!わかってるとおお、おもいますが!」

ナ「はよ帰れ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


明かりのない真っ黒な狭い部屋で、1人の女性は何者かに追いつめられていた。

「…○×@※◆!!」

影は、声を発することなく、女性の声を聴かずにゆったりと迫る。ひたひたと、ひたひたと。水の音が響く。

「・・・・・・」

女性の前に影が立ちはだかった時、影はついに、ニタァ…と笑い出した。

「あはははははははははは…あはっ」

女性は捕まってなるものか、と手探りで、焦りながらもやっと逃げ道を見つけた。そして遂に影の前からフッと姿を消す事ができた。影は悲しそうな顔をしながら姿を消した。

 

 


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桜が舞う季節、青い空に暖かい春風が靡く頃、私は心をときめかせながら巨大な建造物の前に立ち竦んでいた。

とりあえず、自己紹介しておこう。私の名前は樹力 みか。きぢから みか。変わった苗字ってよくいわれてる。至って普通の、容姿は珈琲色の髪で天然パーマで、頭にアホ毛がチョン、と立っている、なんの特徴も特技ない、無個性な女子高生、学園ゲームでいえばモブ的存在だ。

開始早々ネガティブだなって思われるかもしれないけど…うーん、なにかあったかな、私の特技。あ、唯一あるとすれば、こきつかわれやすい…って、そんなのむしろ欠点じゃない!!

…はあ。さて、こんな私が何をしているかというと、今から私は高校生になるのだ。しかも、ただの高校生じゃない。なんと、私は希望ヶ峰学園に入学できることになった。

私立希望ヶ峰学園、そこは政府公認の高校で、全国からありとあらゆる超一流の才能の持ち主が集まる場所。その人たちを『超高校級の○○』と呼ぶ。(詳しくはダンガンロンパ公式をYOROSIKU!)卒業したものは人生の成功を約束されるという。私みたいな無個性には勿体ない場所だ。きっと個性的な人たちが集まるであろう場所で、やっていけるか不安だ。

けれど、選ばれたからには、逃げ出しちゃダメだ。頑張ってやっていこう。…それに、こんな私でも個性を見つけれるチャンスかもしれないし。

そう、私は……この学校に、入らなければならない。

 

 

 

 


考え事をしていないで早く行こう。入学式まで時間がない。チャンスを逃しちゃダメだ。

一歩、一歩と学校へ進む。その一歩がいつもより重く感じた。体重が増えちゃったからとか、そんなんじゃない。すんごく緊張しているせいだ。あと、この学校が壮大なプレッシャーを放っているのだ。私みたいな臆病な人間にしか、この気持ちはわからないだろう。

…よし、玄関まで着いた。もうここまでですんごく疲れた。でも私は止まれない。さあ、この扉を開けるんだ。さあ!今!いざ!!

 

……心の中ではりきって念じるものの、私はひっそりと扉を開ける。だって、恥ずかしいじゃない…「たのもー!!」なんて言って開けたら…周りの人に注目され…あれ、いない?どうして?学校に向かってくる人も見えないし…まさか、もう始まってんの!?

「やばいやばい、急げ!!」

勢いよく私は走り抜ける。入学早々遅刻なんて笑えない!!もう泣きたい!

ああ、でも校内で走ってたら余計目立つけどそんなこと知らな……

「…えっ」

それは、突然のことだった。足が空中にフワッと浮いたのだ。まるで、空を飛んでいるように。そして、白い光が私を襲いだした。そのとき、一瞬かすかに声が聞こえたのだ。

『…Time』

Time…?タイム…?かすかに聞こえた声は、もうそこで途切れてしまった。耳を澄ましてももう何も聞こえない。息ができない。苦しい。……今度はズキッ…と激しい頭痛が襲ってきた…ああ、痛い。痛いなあ。

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてあ

 

 


やめろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…うーん…あれ?」

…重い瞼をあけながら目を覚まし、起き上がる。そこは全く見覚えのない場所だった。私は…いったい?

「…確か、入学式へ…そんで…頭痛がして…そこから記憶がないや…ってここどこ!?」

見渡す景色は大都会並みに高層ビルが並んでいる。SF映画やファンタジー世界でよく見る、未来都市のような風景が広がっている。そして、カメラやモニターがどこにもそこにも設置されている。何かを撮っているのだろうか?
大空は白いドームに囲まれていて太陽が見えない。春風すらも感じられない。そして、人が、誰も、いない…耳を澄ましても物音ひとつ感じられない。感じるのは孤独への不安と静寂だけ。
私が眠っていたのはビルの屋上。周りを見る限り私が寝ていたビルが一番低いように見える。


…うん、ひととおり状況把握は終わった。…でもここがどこかは正確にはまだわからない。…どうしようか。ここから離れて、探索でもしてみようかな…。

よいしょ、と立ち上がる。うう、体が重いなあ…寝起きだからかなー…?あ、もしや、本当に体重増えた…?やだ…ダイエットしよっと…

 


屋上に設置されていたエレベーターを使い、1階まで下りることにした。エレベーターのボタンは1階、2階、3、4とあり、他にも非常用ボタンとか、開ける、閉めるボタンがある。あともう一つ…白と黒が半分キッチリ別れたデフォルト調のクマの絵が書かれているボタンがあるけど…なんだろこれ。…まあいいや。余計変なとこについたら嫌だし、押さないでおこう。

『1階デス』

ウイーン、とゆっくり扉が開く。ここはどうやら、何かの受付のようだ。やけに広いけど。ここもカメラやモニターがあちこちある。そして、床一面にお嬢様やお金持ちがよく通りそうなふかふかの赤いカーペットも敷いてある。…ん?出口付近にざわざわと声が聞こえる。…っ!突然女の子の大きな声が耳に響いて、耳がキーンっとなった。

「あら?」

「HEY!?エレベーターから人がでてきやがったZE!?ウィー以外にも人がいたんだぜっ、チェケラ!!!!」

声がした方向をみると、メイクをした金髪の女性…が描かれている派手なデザインの服を着た、前髪が右寄りになっている赤ピンク髪の短髪の女の子と、ポップな帽子をかぶり、サングラスとオシャレなヘッドフォンをつけた黒い髪のサイドテールの少女がいて、黒い髪の少女はラップのリズムで踊っていた。「とりあえず落ち着こう」と声をかける前に、私はそのリズム感よく楽しそうに踊るダンスに魅入ってしまっていた。

「What your name?」

「えっ!!あっ」

少女はいきなりダンスをやめ、いつの間にか私の目の前に立って踊っていた。びっくりしたぁ…、だってずっとダンスを見てたはずなのに、いきなり…

「What your name?」

黒髪の少女は私が驚いているのを面白おかしそうにクスクスと笑っていながら英語で繰り返し聞いてくる。が、外国人なのかな?この子。英語スラスラだし…

「わ、私は樹力みか!樹力って呼んでください!!」

びっくりしてしまったので、つい大声で言ってしまった。赤ピンク髪の女の子はちょっとびっくりしてたけど、踊っていた女の子は同じように大声で私に自己紹介をした。

「Oh!樹力か!理解したぜ!イエアー!ミーは府楽 音々。ふがく おとねだ!!よろしくっだぜ!!ラップ大好き音楽大好き乙女だZE!ひゃっほー!!好きなものは賑やか、嫌いなものは静けさ!!理解したかい?Lady?」

ああ、とっさに一言で自己紹介すませちゃってた…もっと凝るんだった。…こんなんだから私は無個性なんだ…トホホ…。

「あ…うん、にしても、英語ペラペラだから外国人かと思ったけど、聞いた感じだと日本名だし、違うみたいだね。」

「ん?ああ、ミーは海外旅行に行くことが多いんDA、だからそのせいSA!ミーは生粋の日本人DA、チェケラ!!!!」

それにしても、…府楽 音々ちゃん、か。随分とテンションが高い子だなあ…ていうか、どこにも音楽なんて流れてないのに、この子といるとラップの音楽が耳から離れないんだけど…ヘッドフォンから音漏れしてるのかな?

「ミーは音楽なんて流してないZE?」

「わっ!?」

「はっはっは!よく言われるんDA、お前といると音楽を流してないはずなのにどこからか音楽が聞こえるって!それはきっとミーのオーラ、雰囲気のせいだろうNA!」

ふ、雰囲気で音楽が…なるほど。理解できてないけど理解したことにしておこう。そうしよう。

「ふふ、初対面なのにもう打ち解けてるね、さすが音々。」

「はっはー!フレンドリーがモットーだからNA!」

「あ…」

音々ちゃんと一緒にいた女の子と目が合う。女の子はふふふと笑いながら会釈をする。そして、こっちに向かって歩いてきた。

「初めまして、樹力ちゃん。」

「ああ、うん、初めまして…」

この子、よく見ると耳に虹色の石がついているイヤリングをしている。その石の中に流星群のように星が流れている。綺麗だなあ、なんのメーカーのイヤリングだろう…。アクセサリーに詳しいわけじゃないけど、ああいう色のイヤリングはみたことないなあ…。

「なに?じっとこっち見て…」

「あ、ああ!ごめんなさい!!」

女の子は目を嫌そうに細めて私を見る。お、怒らせてしまったかな。そりゃあそうだよね、初対面の人にまじまじと見られるなんて不快だよね、私だってそうだもの。

「…ふふっ、なんてね、そんな困らないでよ。でもそういう反応もちょっと面白いねっ、ふふっ」

女の子は音々ちゃんみたいに私をからかってるかのように笑いだした。ていうかこれ絶対からかってるよね。うう…。怒っていたわけではなく楽しんでいたようだ。なんか複雑…。

「あ、そうだ。自己紹介がまだだったね、私は一谷 八夂。いちたに やち、だよ。」

八夂ちゃん、か…。…何故だかしらないけどこの子とは妙な親近感を感じる。…友達になれるかな。なれるといいな。

「そういえばYO、樹力はエレベーターに乗ってきたけどYO、今までいったいどこにいたんDA?」

 

音々ちゃんはふと思い出したように言う。私はこれまでのことを二人に話すことにした。入学式へ向かおうとしたら頭痛がして、意識を失って、気が付いたら天上で眠っていたこと。

「ん…と、信じてもらえるかわかんないけどね、入学式へ向かおうとしたら、突然体が宙に浮いて、頭痛がして…意識失っちゃって。気が付いたらこの建物の屋上にいたの。で、今エレベーター使ってここまで下りてきたんだけど」

こんな話信じてもらえるかなあ…。突拍子もない話だし。

「ユーも同じか!ミーも気が付いたらここにいたんだZE!今起きたばっかりなんだZE!」

「えっ?」

「私も。音々やあなたと同じく、希望ヶ峰学園の入学式へ向かって来たら白い光が襲ってきて…ね。」

この二人も私と同じなんだ…。よかった、私以外も仲間がいて。…ん?希望ヶ峰学園の入学式ってことは…

「二人とも私と同じ学校で同学年…かな?」

「Oh!そうだNA!ユーもミーも1年だからNA!」

「ふふっ、そうだね」

じゃ、じゃあ、この人たちは超高校級の才能を持つ人たち…!!そ、そう考えるとちょっと恐縮しちゃうな…だってあの超高校級だよ、とんでもない才能を持っている人たちだよ、私なんかが気軽にお喋りしていい存在なんかじゃ…!!

「ど、どうしたんDA、ユー、生まれたての小鹿のようにプルプル震えてるZE?」

「だ、だってみんなはあの超高校級、でしょう!?あわわわわわ、ごめんなさい!なれなれしくお話ししちゃって!!」

そう、私のような、無個性には、ほど遠い。この人たちは個性豊かな、色んな特技を持って、色んな能力を持って……ああああ、馴れ馴れしくちゃん付けをしてしまったことがすんごく恥ずかしい!!!

「…What?確かにミーは超高校級のラッパーと呼ばれてるけどYO、なにを言っているんだユーは」

「…お、音々さん!?」

…音々さんや八夂さんは「なにを言っているんだお前」とでも言いたげに私に視線を送ってくる。無個性なのを憐れんでいるのかな。どうしてだか背筋が凍りそうだ。

「超高校級だかなんだか知らないけどYO、ミーたちはもうお互いに自己紹介した友達DA、友達なのにそういったビビった態度とられるの、ミーは好きじゃない。今まで通りタメにしてくれYO!あと…ミーはさん付けされるの苦手だからNA」

「…?わ、わかった。」

一瞬だけ、音々…ちゃんの表情が曇ったような気がした。…気のせい、かな。まあいいや。…じゃあ、苦手って言ってたし、ありがたく普段通りでいこう…。

…はあ、それにしても、つい取り乱しちゃった…うん、わかってた、希望ヶ峰学園に入学するってことは超高校級の人たちと深く関わることになるって。けど、いざ生で会うとなるとねぇ…。たとえるなら、重度のアイドルファンがライブかなんかで生で会えた時と同じくらいの感動量だ。

「よっぽど超高校級に憧れているんだね、樹力ちゃん

「え、いや、あはは、それほどでもございませんですよ」

緊張のあまり言語が意味不明になってしまった。八夂…さん?ちゃん?にはどういう風に接していいんだろう。この人も超高校級の…

「あら、私にも普通…というか、タメ口でいいんだよ?だって、私は運で入ってこれただけの、ごく普通の一般人だもの。」

運で入ってこれた高校生…?…あ、まさか!

「そう。私は、超高校級の幸運…そう呼ばれているわ」

超高校級の幸運…全国の学生の中から抽選で希望ヶ峰学園に選ばれた生徒のことを言う。毎年、1回、1人だけが選ばれる。無個性な私は生憎、幸運ではない。けれど私があの学校に選ばれることができたのは幸運と似たようなものだ。なるほど、さっきの妙な親近感はもしかしたらこれかもしれない。

「oh!八夂、ユーはラッキーガールだったのKA!That`s cool!!」

「クールってねえ…運で入ってこれただけって言ってるじゃん。」

八夂ちゃんはため息をつきながら言う。幸運の持ち主がため息をつくなんて勿体ない、なんて空気を読めない事を思ってしまった。だって、ため息をすると幸せが逃げていくって言うじゃない。

「で、でも!運だけでも入れたのってすごいと思うよ!!私なんて…」

「あっ!そういや樹力、ユーはいったいどんな才能を持っているんだい?ユーも希望ヶ峰学園に入学したってことはなにかしらの才能を持ってるってことだろう?幸運はもう八夂がいるから、違うだろうしYO」

「え、ああ、私…?私はね…」

 

 


自分の呼ばれている才能を言おうとしたところで、突然、壁にはってあるモニターがプツンと明かりをつけた。…画面はザーザーと砂嵐状態だ。

『うぷぷぷ、聞こえてるー?』

砂嵐状態のモニターから、明るくて能天気な声が聞こえた。姿が見えない声に、私は内心、少しだけ恐怖している。なのに…

「聞こえてるYO!!」

私と八夂ちゃんはびっくりしたかたまっているというのに、音々ちゃんはラップを踊りながら陽気に返事をしていた。正直すごいと思う。

『えー、希望ヶ峰学園の入学生の皆様!ただちにエレベーターを使い、屋上まで来てください!』

屋上…さっき私が寝ていた場所?そもそも、この建物の屋上のことを言っているのかな?ビルなんてそこらじゅうにあるし…。

『あ、大丈夫だよ、この建物の屋上であっているから』

「っ!?」

まるで私の考えを読んだかのように、声は言う。…見下したように笑いながら。なんだろう、今日は笑われる回数が多い気がする。これで3回目よね…私ってそんなに面白い?

『じゃあ、早くきてね!うぷぷぷ!』

「…あっ」

モニターはプツン、と音をたてて切れた。画面はもう、なにも映していない。画面が切れた後、静かな、なんともいえない気まずい雰囲気が漂った。けど、静かなのが嫌いだという音々ちゃんが、その空気を陽気にたたき切った。

「樹力、八夂、屋上に行こうYO!!もしかしたらウィーたち以外の同級生に会えるかもしれないYO!!そしたら、なんでこんなとこにいるかわかるかもYO!」

てってって、とリズムに合わせながら、音々ちゃんは私が乗っていたエレベーターにスキップしながら乗る。そして、早くこいと手招きをしている。私と八夂ちゃんは、エレベーターを閉められないうちにササっと乗った。

エレベーターは扉を閉じ、どんどん上っていく。私の始まりの場所へ、どんどん上っていく。

「…これから、なにが、あるのかな」

二人に聞こえないように、私はボソッと呟いた。不安にさせたくなかったから、聞こえないように。

 


けど、私は、いや私たちはこの時思いもしなかった。私たちは、今、人生最悪な、逃げ出したくなるような出来事に、自ら足を運ばせているって。