アホ猫とペテン羊
それは遠い遠い昔のお話。
あたしとナイトメアが出会う頃の出来事……。
少し寒い、曇り空のとある日、
街の人たちは、ゾンビみたいにフラフラしていて、
あたしは街の住人たちになにがあったか聞いた。そしたら「
1人2人くらいならともかく、
そう思ったあたしは、人間を助けるため…というわけではないが、
そして、色々調べているうちに、ついに元凶に辿り着いた。
白髪で、前髪が少し黒い、つり目の、
「……」
つり目の子供は、木の上に座っていた。そして、寝不足なのか、
「あ?誰だてめぇ」
見た目に反して、口はかなーり悪かった。
「あたしはっ…‼︎…えーと?」
そういえばあたしは今の今まで名前で呼ばれてたことがなかった。
あたしが旅している理由、それは…
…あたしは物心ついた時から、暗い暗い山のほら穴で眠っていた。
「うーん、わからんにゃ。名前にゃんてないからにゃ、あたし」
「はぁ?名前がない?んなわけねーだろ」
…むぅ、うるさいにゃね。仕方ないじゃにゃいか…
「てかにゃーにゃーうるせぇよお前。アホ猫ー」
「にゃあ⁉︎」
く、口癖の事は突っ込まないで欲しい。
「…むー!てか、アホ猫ってなんにゃ‼︎」
「ウケケケ‼︎だって見た目からしてアホっぽいもんお前ー‼︎」
見た目からして…アホっぽい……
あたしはショックのあまり足を崩した。
だがその隙に白髪の子供はあたしの背後に回っていた。
「ひっ…⁉︎」
「…ウケケ」
足を崩して座っているあたしを、
あたしは、何故かは知らんが、
そして更に背中を押されると、
「…やっぱな。おめぇが…」
「…?」
子供は「なるほどな」と納得したような顔をすると、
「な、なんにゃ?どういうことにゃ?」
「知らなくていーぜ?じゃあなー」
子供はウケケケと笑いながら手を振ってその場を去ろうとした。
「待つにゃ‼︎お前が悪夢見せてる犯人なんにゃろ⁉︎
「あー?そうだとしたらなんだよ?なんか文句あんのか?」
あるに決まってるにゃろ‼︎
「大アリにゃ‼︎みんなを困らせて、苦しめて、
「……っ。なにがしたい?なにがしたいんだ?……僕は。」
「…え?」
子供はまた目が虚ろになり、視線がどこかへ行っていた。
「…はっ。いけないいけない。」
子供は首をフルフルさせて、
「別に、なんだっていいだろ?理由なんて。
…むぅ。聞いてるのはこっちなのに。逆に聞いて来たにゃね。
「…あたしにも、よくわからないにゃ。」
「はぁぁ?」
「…ただ、なんか、本能的にそうしちゃうんにゃよ。」
「…本能?」
「…なんだかにゃあ、うまく言いにくいが、
……理不尽な理由で苦しめられている奴ら。
「…くっだらねぇな。実にくだらねぇ。」
「…だろうにゃ。あたし自身も実は少しそう思うにゃ。けど、
あたしは、曖昧な答えを、子供に、
「…可哀想な奴。…本に縛られてやんの。…
「…本に縛られる?」
意味不明なワードがでてきた。本に縛られるって…?
「…なんでもねー。じゃあな。」
子供は、今度は羊の姿に変身して、飛んでどこかに行こうとした。
「おい‼︎待つにゃ‼︎話は終わってないにゃ‼︎‼︎」
あたしは飛べないけど、必死にヤツを追いかけた。叫びながら。
「うるせぇヤツだな。安心しろよ、
「ほ、本当かにゃ?」
「本当、本当ー。じゃなっ!…あ、そうそう」
「あ?」
「…俺は…ナイトメア。んで、
羊はまた意味不明なワードを残し、
あたしは、さすがに追いつけないので、もう諦めることにした。
「…むぅ。」
…色々とよく、わからないけれど。
…カーネ…ま、悪くないかにゃ。
…ま、許す訳じゃないが、
もしかしたらあいつ、根は悪いヤツじゃないのかも?
……その夜の事。あたしは氷に閉じ込められる悪夢を見た。更に、
更に、翌朝、街の住人たちの具合は更に悪くなっていて、「
……………………………。
あたしは、あの羊に聞こえるくらい大声で叫んだ。
「こんのペテン羊がぁぁぁぁぁぁ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」